人文学専攻(博士課程)

清泉女子大学大学院人文学専攻についてご紹介です。




人文学専攻の特徴

人文学専攻では、言語文化と思想文化を有機的に統合し、新しい視点からの学際的かつ総合的な教育・研究を実践します。
文学、言語学、キリスト教思想、文化史学の4 分野で、文化の言語的側面と思想活動の側面からアプローチを行います。

人文学専攻では、言語文化と思想文化の有機的統合により、新しい視点からの学際的かつ総合的研究と教育を行います。本専攻における「人文学」とは、人文科学全体ではなく、文化の言語的側面および思想活動の側面を領域としており、その軸となる具体的な学問分野は、「文学」「言語学」「キリスト教思想」「文化史学」です。

人文学専攻の目的

  1. 上記の各分野における専門知識と研究能力を有した研究者の育成。
  2. 上記の各分野における専門知識を有し、研究手法にも通じた高度専門職業人の育成。
  3. 優れた専門知識を有し、学校教育、社会教育において指導的立場で活躍できる人材の育成。

人文学専攻概要

科目構成

●専門科目
【文学】
日本文学研究 I~VII
英語圏文学研究 I, II, III
スペイン語圏文学研究 I, II, III


【文化史学】
西洋文化史学研究 I, II, III
東アジア文化史学研究
日本文化史学研究 I, II, III

【言語学】
言語学特殊研究 I, II
応用言語学特殊研究 I~V
日本語学研究 I, II
スペイン語学研究 I, II

【論文指導】
博士論文指導 I, II

【キリスト教思想】
キリスト教思想研究 I, II
日本キリスト教研究
●関連科目
近現代社会理論研究
比較文学・比較文化研究 I, II
宗教文学研究
キリスト教言語思想研究
聖書学特殊研究
教育制度研究
情報処理研究
言語理論研究
文学理論研究
対照言語学研究

博士論文のテーマ

全てを開く
文学
  • 尾崎紅葉初期小説の研究
  • Comic Vision : Roald Dahl's Light Fantasy for Children
  • A Study of Time and Speech in C.S.Lewis’s Fantasy Works: His Attempt to Revive Hebraic Thought in Christianity
  • 福沢諭吉における「個」の観念 ―夏目漱石・森鷗外との関連で―
  • 芥川龍之介論 ―<写生>をめぐって―
言語学
  • 東南・南アジアの英語文学における非英語表現の実態とその日本語への翻訳について
  • 連合関係からみた明治期日本語語彙
  • スペイン語の否定語における意味構造について ―EN否定を中心に―
  • 幕末明治期刊行草双紙の語彙・表記
  • 日本の公立小学校英語教育におけるCLIL 指導導入の可能性に関する研究
  • 編纂資料から見た私版『言海』の成立

専任教員一覧

阿川 敏恵 教授

【専門分野】
英語教育学、動機づけ、第二言語習得論
【研究テーマ】
日本人大学生英語学習者の動機づけを中心に研究をおこなっている。自己決定理論の枠組みを使った研究を実施しているほか、L2動機づけ自己システムやグループ・ダイナミスと動機づけの関係にも興味を持っている。研究手法としては、質問紙等を用いた量的なものの他、面接調査等を実施してそれを質的に分析するもの、量・質を組み合わせたいわゆるMixed Methodを用いている。動機づけのほか、コミュニケーション方略、協同学習等にも関心がある。

木川 弘美 教授

【専門分野】
西洋美術史
【研究テーマ】
近世(ルネサンス)以降の西洋美術を専門としている。主たる分野は、15世紀のネーデルラント(フランドル)絵画史で、宗教画を中心としたモチーフの研究を行っている。アルプス以北のルネサンスが、イタリアとどのような相互関係にあったのか、具体的な作例を分析しながら考察をすすめている。古典古代の復興という点から、ギリシア・ローマ美術、新古典主義なども視野に入れつつ、多角的に芸術をとらえる試みを行っている。

木村 琢也 教授

【専門分野】
スペイン語学、音声学
【研究テーマ】
スペイン語の音声学・音韻論、特にアクセントとイントネーションを主な研究テーマにしている。スペイン語発話のピッチ(声の高さ)変化の要因を解明し、抽象的な音韻論から音響音声学までをひとつの理論で結びつけることを目指す。その他スペイン語学全般および日本語とスペイン語の文法の対照研究にも興味がある。

今野 真二 教授

【専門分野】
日本語学
【研究テーマ】
日本語学の中でも「日本語の歴史」の追及をテーマとする。室町時代と明治時代を中心とするが、ひろく上代から近代までの間に日本語がどのように変化してきたかを観察し、事実の羅列ではない、体系的な日本語の歴史を記述することを目標としている。また日本語を仮名と漢字とによって文字化するということ、すなわち「日本語の表記」に関しての分析も行っている。

齊藤 文子 教授

【専門分野】
スペイン語圏の文学
【研究テーマ】
研究領域はスペイン及びラテンアメリカの文学。なかでも16、17世紀のスペイン文学黄金時代に生まれ、西洋近代小説の元祖となったといわれる『ドン・キホーテ』がどのような歴史・社会・文学的背景から書かれたのかを研究している。最近は作者セルバンテスが当時の社会のマイノリティーに向けていたという視線から、彼のもうひとつの傑作である『模範小説集』の分析を進めている。

斉藤 悦子 教授

【専門分野】
アメリカ文学
【研究テーマ】
19世紀アメリカの思想と文学を主な研究対象とする。資本主義の超大国となった現代のアメリカ合衆国の原型が完成される「金メッキ時代」を焦点に、その時代の「アメリカ観」をめぐる思想的葛藤を、マーク・トウェインを中心とした文学や「西部」を題材とした文化表象の中に探る研究に取り組んでいる。

齋藤 華子 教授

【専門分野】
スペイン語教育学
【研究テーマ】
自律的な外国語学習者育成を目標に、スペイン語を学ぶ日本の大学生に適した語彙リストの作成や語彙指導法、多読活動に利用できる教材の検討を始めている。また外国語学習における初等・中等教育の連携も視野に入れながら、外国語学習の意義を考えている。

佐伯 孝弘 教授

【専門分野】
日本近世文学
【研究テーマ】
日本近世小説、特に江島其磧の八文字屋本などの 浮世草子を研究テーマとする。後続作者たちの 西鶴享受や、浮世草子と噺本・読本・演劇などの 他ジャンルとの関係、作中への実事件・モデル・ 巷説の取り込み等の視点から、浮世草子の趣向性 や文芸性を考察して来た。近世前期の怪異小説 や笑話も専門にしている。

佐々木 守俊 教授

【専門分野】
哲学、倫理学、西洋思想史
【研究テーマ】
おもに平安~鎌倉時代の仏像や版画を対象とし、作品をとりまく人間関係や社会的・宗教的環境、特に中国からの影響を考慮しつつ、それらがつくられた事情や期待された役割をあきらかにすることを目標に研究している。特に近年は、仏像の内部空間に納入されたさまざまな物品を手がかりに、人々が仏像になにを期待したかを考察の主眼としている。このほか浮世絵をはじめとする近世絵画にも関心があり、仏教美術と同様、「東アジアのなかの日本」という観点から作品の歴史的意義を問うている。

笹田 裕子 教授

【専門分野】
英米児童文学、ファンタジー文学
【研究テーマ】
英米児童文学、特にイギリスのファンタジー作品を研究対象とする。日常の中の魔法や身近な別世界を描くライト・ファンタジー、現実世界である「第一世界」に対する「第二世界」として構築された別世界を舞台とするハイ・ファンタジーをはじめ、多様なファンタジー作品について、別世界の構築、語りの手法、および普遍性に関する検証と分析を重ねている。映像や絵本など視覚化された作品や、伝承、児童文化などにも関心を寄せている。

鈴木 崇夫 教授

【専門分野】
哲学、倫理学、西洋思想史
【研究テーマ】
生命倫理との取り組みを経て、「よく生きる」とはどういうことなのかという哲学の初発の問題にあらためて焦点を合わせている。目下のところ、規範の超越性を機軸に据えたカント哲学と、コナトゥス原理の内在性に徹したスピノザ哲学との異同について思索をめぐらしている。

鈴木 卓 教授

【専門分野】
言語教育学、談話分析
【研究テーマ】
実際に日常的文脈の中で使用される言語である「談話」の分析(談話分析)と、その第二言語教育への応用(言語教育学)を専門としている。例えば友人同士が喫茶店でするくだけた会話を、英語母語話者と日本語母語話者で比較し、そこに現れる談話のジャンルや構造・しくみ等を研究している。

鈴木 直子 教授

【専門分野】
日本近現代文学、ジェンダー論
【研究テーマ】
専門は日本近現代文学。主に、女性文学・戦後文学・沖縄文学などを研究。島尾敏雄をはじめ、太宰治、大城立裕、倉橋由美子、平塚らいてう、林真理子などを論じている。ジェンダー・セクシュアリティ、社会格差、サブカルなど、小説という窓から見えてくる社会や文化の諸相に関心を持っており、特にジェンダーについては女性表現と女性身体をめぐる近代の歴史的動向などをふまえ、比較文化・文学的視点も意識しつつ研究をすすめている。

高田 智子 教授

【専門分野】
英語教育・応用言語学
【研究テーマ】
コミュニケーションを目的とした外国語学習の枠組であるCEFRの、日本の学校英語教育への適用を専門としている。行動中心主義や学習者の自律というCEFRの教育理念を具現化するための言語タスクとその指導法、およびテストタスクの開発に取り組んでいる。CEFRの視点から検定教科書を分析し、活用への提案をするなど、実践に寄り添う研究を目指している。千葉県公立学校から長期研修生受入れの経験がある。

竹田 文彦 教授

【専門分野】
キリスト教学、カトリック神学
【研究テーマ】
キリスト教神学(特に、歴史神学[キリスト教思想史、教会史、教父学]、霊性神学、東方キリスト教学)を専門とする。ギリシア語、ラテン語のみならず、イエスや弟子たちが話したとされるアラム語の一方言であるシリア語で書かれた初期キリスト教著作家たちの文書を読み解きながら古代地中海世界におけるヘブライズムとヘレニズムの緊張関係の中で成立したキリスト教の思想的特質について研究している。

田中 典子 教授

【専門分野】
語用論
【研究テーマ】
実際の場面で言語がどのように用いられ、それがどう理解または誤解されるかを研究対象とする「語用論」を専門としている。例えば、同様の状況下で、英語と日本語ではその表現方法がどのように異なり、それが異文化間のコミュニケーションにどのような問題を持ちうるのかを調査・研究する異文化間語用論も主な対象のひとつである。また、相手との社会的距離や力関係によって、用いられる配慮表現がどのように異なってくるかというポライトネスの観点からの談話分析も行っている。

田和 真紀子 教授

【専門分野】
日本語学、日本語史
【研究テーマ】
日本語学、特に副詞の意味・機能の史的変遷と副詞の語彙体系化を主要な研究テーマとする。中古・中世前期・中世後期までの資料を中心に調査を行い、副詞の意味・機能がどのように変遷してきたかを観察・記述してきたが、最近は現代日本語の成立に至る副詞の変化にも興味を持っている。特に、日本語程度副詞については、意味・機能の変遷過程をもとに体系化することを目標としている。

長野 太郎 教授

【専門分野】
ラテンアメリカ研究、ポピュラー文化研究
【研究テーマ】
中南米・カリブ地域にまたがるラテンアメリカを文化的連続体ととらえ、その生成過程や基本的特質を明らかにしようとしている。なかでも音楽やダンスをめぐって、社会状況との関連、移動、拡散、越境への対応、宗教的観念と身体性の相関に関心がある。具体的には、アルゼンチンにおける民俗舞踊の制度化、ラテン音楽・ダンスのグローバル化を研究テーマとしている。

中野渡 俊治 教授

【専門分野】
日本古代史
【研究テーマ】
古代の天皇制について、太上天皇の位置づけや、臣下から天皇への上表文の分析などを中心として研究を進めており、前天皇としての太上天皇と天皇との関係や、天皇を支える貴族たちとの関係からの、天皇位の正当性や天皇と臣下との関係の解明を課題としている。
また近年は、藤原氏の存在を視野に入れながら、天皇・太上天皇と藤原摂関家・摂関政治との関係など、古代国家における王権構造に関する研究を進めている。

福田 健 教授

【専門分野】
認知科学、情報セキュリティ心理学
【研究テーマ】
人の学習や判断のメカニズム、特に領域知識を十分に持たない状況での類推や因果推論について取り上げている。一例として、ネットワークや計算機などの情報処理システムについての初心者が情報セキュリティについて問題解決する際の、判断や学習内容のゆがみ、学習の手がかりなどを検討している。

藤澤 秀幸 教授

【専門分野】
日本近代文学
【研究テーマ】
日本近代文学、特に明治文学を研究テーマとする。作家としては泉鏡花、島崎藤村、北村透谷を主な研究対象としている。泉鏡花の研究では彼の幻想小説に、島崎藤村の研究では彼の詩に、北村透谷の研究では彼の評論に重点を置いている。昭和の戦後文学、平成の文学にも関心を寄せている。小説と映画・演劇との関係、大衆小説のヒーロー像にも関心をもつ。

和田 桂子 教授

【専門分野】
英文学・比較文学
【研究テーマ】
主に20世紀英文学と日本近代文学との影響関係を研究対象としている。たとえばモダニズム文学の日本における受容、あるいはロンドンを訪れた日本人文学者によるイギリス文化の摂取、といったテーマに取り組んでいる。