清泉女子大学

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米谷 郁子 准教授

英語英文学科

米谷郁子准教授2

ルネサンス期の英文学、演劇の研究
シェイクスピアをはじめとする初期近代イングランド演劇の華やかさ。その作品分析、および後世における校訂・上演・翻案の歴史と理論の研究を行っています。

教員インタビュー

Q1 学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。
 大学の教養学部時代は映画を観ること・作ることにはまっていました。蓮見重彦先生の映画の授業で、年間300本以上の映画を観ないとダメと言われまして。もうとにかくわからないながらも背伸びしてブニュエルだのゴダールだのカサヴェテスだのを手当たり次第に懸命に観てましたね。90年代の東京にはまだたくさんミニ・シアターもあったし、当時は六本木にあったシネ・ヴィヴァンなんかに通っていました。映画サークルでは、つげ義春の漫画などに影響されながら、サイコサスペンスタッチのストーリーを撮っていましたね。私は役者ではなく裏方でしたけれど、自分たちで作った台本や絵コンテを元に、大学の帰りにだらだらぶらつきながらロケハンして、キャンパス内にある土手や自宅や、町の商店街や坂でロケしたりして。大学の文化祭で上映して好評を得たことも、よい思い出です。そう言えばあの映画のフィルム、今どこにあるんだろう(笑)
Q2 先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。
 大学2年の夏学期の授業で、成田篤彦先生のシェイクスピア講読の授業を履修しました。その時に人生で初めて精読したシェイクスピア作品が『トロイラスとクレシダ』だったんです。最初に精読したのがハムレットみたいな有名な名作ではなくてトロクレだなんて、今思えばフシギなのですが(笑)作品の面白さ切なさにはまりました。トロイラスの名台詞「あれはクレシダであってクレシダではない」も、クレシダの名台詞「さようなら。片方の目はあなたを見ている、でももう片方の目は心といっしょに別のほうを見ている」も、その謎めいた魅力には、意味がわからないからこそ惹かれたというか・・・。また、当時イギリスからテアトル・ド・コンプリシテというカンパニーがよく来日公演していました。役者の身体を重視して、単純なセットでマジカルな上演をするカンパニーとして有名なのですが、叔母がコンプリシテの観劇に連れて行ってくれたのも、かけがえのない思い出です。
Q3 研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。
 “from page to stage” という言葉がありますが、他分野にはない演劇の魅力というのは、これです。つまり、演劇という分野は、台本・ホンという2次元の「ページ」を読むことからも、また「身体と声という、己の持てるだけのものを使った舞台上の演技」という3次元の「ステージ」に参加することからも、両方向からの多様なアプローチが可能だということです。だからこそ、己を知ることと、世界を想像することが同時に可能になるだけでなく、身をもって経験することができる。また、舞台という何もない限られた空間であるからこそ、例えば古代ギリシャといったはるかなる過去の世界も、反対にまだ見ぬ未来をも表わし得るというフシギを味わうことができる。しかもそれらはすべて演者の体と台詞から出現するわけですから。お金をかけてCGを使わないと「リアルなSF」を創ることができない映画とは違って、演劇はもっと自由です。その自由がプレッシャーや恐怖だったりするのですけれどもね。いい意味でクレイジーな世界ですよ。

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Q4 学生へのメッセージをお願いいたします。
 今あなたが学生生活を送っているまさにその同時刻に、この世界で何が起こっているのか、日本の報道だけでなく海外のニュースに接しながら暮らして欲しいです。私自身の大学時代、1990年代前半には旧ユーゴスラヴィアでボスニア紛争がありました。ヨーロッパの真ん中で大勢の人が毎日虐殺されていたのです。けれども当時の私は大学生活を楽しんでばかりで、第一次イラク戦争はテレビ報道などで知っていても、ボスニア紛争の現実などよく知らないままでした。
 その後、イギリスに留学していた頃に、ボスニア出身の友人と知り合いました。この人は10代の頃に紛争の戦下を逃げまどい、家族を失いながらも生き延びた人で。「文学は戦争に加担しないで済む学問だから素晴らしい」と言う、この友人を仰ぎ見ながら、自分の無知に対して感じた恥ずかしさは、今でも忘れられません。例えば「恥ずかしさ」を知る、のでもいい。自由に揺れ動く好奇心を追いかける「学問の自由」は、ここではない場所、今ではない時間、自分ではない他者の世界を知ることから始まると思います。

教員紹介

氏名米谷  郁子
フリガナコメタニ イクコ
職種准教授
所属英語英文学科
取得学位 Ph.D. 博士号(英文学)
学位取得大学 University of Birmingham バーミンガム大学(英国)
専門分野英文学(演劇)
研究テーマシェイクスピアをはじめとする初期近代イングランド演劇や詩を、王権表象に関わる同時代の政治思想や歴史的コンテクストを踏まえながら読む。また、初期近代のテクストの後世における校訂史、上演史、翻案の研究、およびフェミニズム批評、クィア批評をはじめとする批評理論の研究も行う。
所属学会(役職)
及び受賞歴
Renaissance Society of America
Shakespeare Association of America
日本英文学会
日本シェイクスピア学会
日本十八世紀学会
主要業績・『今を生きるシェイクスピア』(編著)研究社 2011年
・『愛の技法―クィア・リーディングとは何か』(共著)中央大学出版会 2013年
・『シェイクスピアとその時代を読む』(共著)研究社 2007年
社会活動、
文化活動等
・『英語総合B(Poem into Song)』(教科書の翻訳・監修)放送大学教育振興会 2008年

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