清泉女子大学

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駒井睦子 専任講師

スペイン語スペイン文学科

駒井 睦子教授

スペイン語圏の近代詩を読み、分析します
専門はスペインとラテンアメリカの近代詩と詩人の研究です。使われる言葉やイメージを手掛かりに個々の作品を分析しています。また女性の文学にも関心があります。


【主な担当科目】
スペイン語演習1718スペイン語文学IIゼミナールVI

教員インタビュー

Q1 学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。
 私は大学に2度入学しています。1度目は高校を卒業した直後、短期大学の英語科に入りました。当時の日本のいわゆる大手企業は、四年制大学卒よりも短大卒の女性を多く採用する傾向にあったため、私のように短大を選ぶ女性が数多くいました。
 短大では英文学がご専門の女性の教授の授業が印象に残っています。凛とした威厳のある先生で、授業はかなり厳しかったです。しかし私たちはいつの間にか、恐れながらも先生を尊敬するようになっていました。演習で英国幽霊小説の翻訳を課題として提出し、良い評価をもらったことを覚えています。翻訳はとても楽しかったので、将来機会があれば文学の翻訳をやってみたいと思っていました。その後、家族の転勤の都合でアルゼンチンに行くことがなければ、おそらく英語をずっと勉強して英米文学の翻訳に携わっていたのではないかと思います。
 しかしながら、アルゼンチンに行ったことで私の運命は変わりました。そこでスペイン語に出会い、日本に帰国後しばらくして清泉女子大学の西文科の3年次に編入学をしました。その時の私には卒業後大学院に進学し、文学を研究するという明確な目標がありました。2度目の大学生活ではいつも教室の前の方に座り、積極的に授業に取り組みました。昔の自分が知ったらびっくりしただろうと思うくらいの変わりようだったのです。しかしこの時は勉強と仕事と家事で毎日へとへとでした。それでも清泉では素晴らしい先生と友人に恵まれたと思います。
Q2 先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。

駒井先生

 アルゼンチンに住んでいた時に嫌も応もなくスペイン語を学ばざるを得なかったのですが、その時に自分は英語だけではなく、外国語を学ぶことにとても喜びを感じることに気が付きました。子供のころから小説や詩が好きだったので、文学作品を原書ですらすらと読むことを目標にしました。現地でスペイン語を教えてくれていた先生にアルゼンチンの文学を読みたいと頼み、フリオ・コルタサルという有名な作家の短編を授業で一緒に読んでもらいました。コルタサルの作品では、日常生活の中で現実と非現実がすっと入れ替わるシーンがしばしば登場します。想像力をかきたてるそのような作品世界に魅了されました。文学だけでなく、当時ラテンアメリカで流行っていた歌の歌詞を一緒に読んだこともありました。今思えば、歌詞との出会いがスペイン語詩との最初の出会いだったのだと思います。
Q3 研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。
 私がスペイン語の近代詩を研究するようになったのは、詩の中の言葉の響きのようなものに大変魅かれたからです。詩を音読したとき、音やリズムやテンポなどが心をつかんで激しく揺さぶるように感じます。それぞれの詩行は、高らかに朗々と歌を歌うように響くこともあれば、小気味よくリズミカルなテンポを生み出すこともあります。時に、心の中の激しい感情を突き刺すように繰り返したり、また弾むような浮き立つ心情を表したりします。意味をゆっくりと追っていき、「ああ、こういうことなんだ」と内容に打たれるときもあれば、比喩のうまさに呆気にとられることもあります。
 実のところ、おそらく私は何語であってもよかったのだろうと思います。たまたま渡航先がアルゼンチンだったからスペイン語をやっていますが、他の国に行ったのであれば、今頃はその国の文学を研究していたことでしょう。私は感覚で詩をとらえることが多いのですが、それをどうやって研究し、論文で発表するのか、いつも悩みながら手探りでやっています。でもその苦しみに満ちた道程そのものがまた喜びであったりします。色々な作品を読んでいると、興味の対象が広がることがあります。私はアルゼンチンの女性の詩人アルフォンシーナ・ストルニの研究を始めたことがきっかけで、最近は女性の文学に強い関心を抱くようになりました。
Q4 学生へのメッセージをお願いいたします。
 私が大学に2回入ったことはすでに述べました。まっすぐな道ではなかったことは間違いありません。私生活でも病気になったり、転職をしたり、ほかにも色々なことがあり、決して順風満帆の人生を送ってきたわけではありません。小さいころから自分がいるこの世界に上手くなじめず、違和感を覚え続けてきました。いつも自分が二つに引き裂かれていたような感覚もありました。周囲の環境と自分とが何か決定的に合わないという感覚、生きているこの世界と自分との間にあるずれに、身もだえするような焦燥感を感じながらも突破口を見いだせない思いでした。
 ずっとこうやって生きていくのかとほぼあきらめていた時、アルゼンチンという異質の国に出会いました。日本とは地球の正反対の場所に位置し、言葉や文化や習慣が全く異なるアルゼンチンに住み、アルゼンチン人と出会い、毎日スペイン語と格闘しながら異文化を理解しようと懸命に生きました。必死に日々暮らしながら5年が経った時、私と世界の間の違和感は無くなっていました。もうどこでも生きていけるような気がしています。
 いろいろな人生があります。大人になっても意外と人は変われるし、成長もできるものです。「知は力なり」。皆さんも行き詰まったときに、頑張ってお金を貯めて、異文化にえいっと乗り込んでみると突破口が開かれるかもしれません。

教員紹介

氏名駒井 睦子
フリガナコマイ ムツコ
職種専任講師
所属スペイン語スペイン文学科
取得学位修士(学術)
学位取得大学東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻
専門分野スペイン語圏の近代詩
研究テーマスペインとラテンアメリカ諸国で書かれたスペイン語の近代詩を研究対象としている。これまでは特に、近代アルゼンチンを代表する女性詩人アルフォンシーナ・ストルニの作品を取り上げてきた。ストルニ研究をきっかけに、最近はスペイ語圏の女性の文学に注目し、フェミニズム文学批評にもアプローチを試みている。
所属学会(役職)
及び受賞歴
日本イスパニヤ学会
日本ラテンアメリカ学会
セルバンテス懇話会
主要業績・国際学会発表:The Power of Memory: Perspectives from Latin America, The University of Tokyo, Komaba Campus, Date: June 10-12, 2016,“La evolución de la memoria sobre las obras poéticas de Alfonsina Storni como muestra de la transición literaria en Argentina”
・「アルフォンシーナ・ストルニの中期作品における語り手」相模女子大学紀要、Vol.77A(2013年度)、2014年3月、97-108頁.
・「アルフォンシーナ・ストルニの7冊目の詩集における前衛的手法」―新しい『私』が語る新しい物語―」『イベロアメリカ第XXXV号第1巻(2013年前期)』、2013年7月、43-68頁.
・「アルフォンシーナ・ストルニが描く都会の周縁」『スペイン学15号』、2013年、64-75頁.
・「アルフォンシーナ・ストルニの詩における女性の語りの複雑さ」『Hispánica 56』、2012年12月、159-181頁.
社会活動、
文化活動等
・清泉女子大学ラファエラ・アカデミア講師(2009年4月~2017年3月)
・日西翻訳通訳研究塾講師(1999年9月~)
・桜美林大学オープンカレッジ講師(2008年10月~2010年3月)
・財団法人日本スペイン協会講師(1993年10月~1995年12月)

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