海外で活躍する卒業生

[青年海外協力隊(コロンビア)]

外国と日本を繋ぐ架け橋を目指すようになったきっかけ

コロンビアの公立図書館で、日本の紙芝居を実演【コロンビアの公立図書館で、日本の紙芝居を実演】
 私は、作者や主人公の気持ちを考えて解答しなければならない国語の授業が昔から苦手でした。ところが、高校生の時にカナダで受けた英語(国語)の授業では、どうすれば自分の考えを相手に伝えられるかというところに重点を置いていて、日本の国語の授業との違いに驚きました。

 日本社会では、相手がどのように思うか、どうしたいのかを読みとることが重要ですが、一方、カナダ社会では、相手に自分の言いたいことを伝えることが重視されていることに気付き、文化の違いの面白さや、教育が社会にもたらす影響の大きさを感じました。生きていくためには両方とも必要な能力であり、新たな文化を学ぶことにより、相手をより深く理解し、自分自身も向上させることができるのだと思います。

 小学生の時、自宅でホームステイの受け入れをしたタイ、フィリピン、フランスなどの若者と話ができるようになりたくて、外国語を積極的に学ぶようになりました。特に、タイの青年が根気強く英語でコミュニケーションをとろうとしてくれたことが嬉しくて、その後英語を一生懸命勉強して、彼の住む街に会いに行ったりもしました。

 大学卒業後は、電子部品メーカーの海外営業部で働きながら日本語教師の養成学校に通い、日本語教師に転職した後は、ルーマニアの公立高校で日本語を教えたり、個人レッスンを行ったりしていました。

 ルーマニアで高校生相手に日本語を教えていた時、初めは日本文化への興味がきっかけで日本語を学び始めるのですが、文法が難しくなるにつれ、多くの生徒が学習意欲を失っていきました。ルーマニアに住んでいる日本人は少なかったため、実際に日本語を使う仕事はもちろん、日本語を使う機会もほとんどありませんでした。そこで、小学生の時私が体験したように話し相手ができれば勉強したくなるのでは?と思い、日本の高校と交流を始めたところ、多くの生徒が「新しい友達と話してみたい」と学習意欲を取り戻しました。このような体験がきっかけとなり、外国の方と日本の方を繋ぐような仕事に就くようになりました。

人が未知のことに興味を持ち、チャレンジする姿を見るのが私のやりがい

国立図書館前で【国立図書館前で】
 ルーマニアで日本語教師として働いた後、財団法人の青少年国際交流事業のコーディネーターとしての勤務を経て、青年海外協力隊の一員としてコロンビアへと渡りました。協力隊では、南米コロンビア共和国文化省国立図書館で読書活動・図書館利用を推進する業務を担当しています。具体的には公立図書館を回り、読書会やお芝居、アートワークショップなどを地域住民に向けて開催したり、日本とコロンビアの子どもたちの文化交流プログラムなどを行ったりしています。

 図書館での活動は、以前に勤めていた会社での仕事とは違い、決まった業務というものが用意されているわけではないので、自分で提案し、予算をとり、仲間を集め、活動しなければなりませんでした。配属直後はまだスペイン語での会話もままならない状況で、また、まっさらな状態からどうやって活動を築いていけばよいのかもわからず、試行錯誤の連続でしたが、様々な方々の協力のおかげで徐々に活動が軌道に乗るようになりました。

 日々の活動を通して、コロンビアの人たちが自分の知らないことに興味を持ち、沢山質問をしてくれたり、新しいことにチャレンジしている姿を見たりすることが、今の私のやりがいです。多くの人が学ぶ意欲を持つきっかけになるような活動を今後も行っていきたいと思います。

学生自身で作り上げるフィールドワークが、現在の活動の土台に

 高校までの授業は受け身でしたが、地球市民学科のフィールドワークの授業では、対象地域や現地コーディネーター等は指導教員が決めるものの、具体的な訪問先や活動内容を決めたり、コーディネーターとコンタクトをとったりといったことについては、学生主導で進めることができました。学生自身が責任感を持ち、アイディアを出し合い、チームで1つのプログラムを作り上げることができたため、この経験が現在の活動の土台になっていると思います。
Y.S.さん

[青年海外協力隊(コロンビア)]

南米コロンビア共和国文化省国立図書館
Y.S.さん
2007年 地球市民学科 卒業
私立 東京文化高等学校(現.新渡戸文化高等学校)出身

*掲載内容は取材当時のものです。