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ボッティチェルリの<ヴィーナスの誕生>
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<ヴィーナスの誕生>は海の泡から生まれたヴィーナスが貝殻に乗って今まさに陸地にたどり着こうとするところを描く。西風ゼフュロスがニンフとともにヴィーナスを岸へと送り届けようと風を送り、陸地では時の女神ホーラがヴィーナスの体に着せかけようと、衣装を持って待ち構えている。穏やかな海にはバラの花が女神を讃えるように舞っている。
この画集が「天上のヴィーナス・地上のヴィーナス」と名づけられているのは、<春>の着衣のヴィーナスが地上のヴィーナスを、清らかな裸体で描かれた<誕生>のヴィーナスが天上のヴィーナスを描いているとの説に由来している。ルネッサンスは古代復興の時代であり、古代の思想がキリスト教思想と結び合った時代であった。新プラトン主義に基づく二人のヴィーナス論は、美によって永遠の真理に導かれる人間の可能性を謳い上げたものといえる。永遠の美を湛えるボッティチェルリのヴィーナスをこの画集でじっくり味あうのは無上の幸せである。 |
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