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<2007年11月は、源氏物語です。>

『源氏物語』 紫式部著

平安時代中期の11世紀初め、紫式部によって創作された長編の虚構物語。

正しい呼称は「源氏の物語」で、「光源氏(ひかるげんじ)の物語」「紫の物語」「紫のゆかり」などの呼び方もある。後世は「源氏」「源語」「紫文」「紫史」などの略称も用いられた。主人公光源氏の一生とその一族たちのさまざまの人生を70年余にわたって構成し、王朝文化の最盛期の宮廷貴族の生活の内実を優艶(ゆうえん)に、かつ克明に描き尽くしている。これ以前の物語作品とはまったく異質の卓越した文学的達成は、まさに文学史上の奇跡ともいうべき観がある。以後の物語文学史に限らず、日本文化史の展開に規範的意義をもち続けた古典として仰がれるが、日本人にとっての遺産であるのみならず、世界的にも最高の文学としての評価をかちえている。

(『日本大百科全書』小学館より引用)

 【源氏物語各帖一覧】




               
                              『源氏物語絵巻』 徳川黎明会, 五島美術館編





                          『源氏物語』と国宝源氏物語絵巻と


                                                 日本語日本文学科教授  長谷川 政春

 『源氏物語』は、十一世紀初め、今から一千年前に紫式部という女性の手によって書かれた長編の物語である。光源氏という、天皇の第二皇子として生まれながら臣下に下って「源氏」となって生き抜く主人公の波乱万丈の人生が語られている。
 多情多感な青年の光源氏は、亡き母にそっくりの藤壷宮に禁忌の恋をし、その他多くの女性たちとの恋の遍歴を経て栄華を極めるも、後年においてその栄華が瓦解する音を聞くことになる。しかし、最後まで光輝くことを運命づけられた主人公の、しかも自身の老いを自覚し、自分よりも年若い最愛の女性紫の上との死別を経てのものであった。さらに、物語は彼の死後も、その子や孫たちの恋模様が「光源氏の物語」とは趣を変えて展開されてゆく。

 一方、国宝源氏物語絵巻は、それから約百五十年後の十二世紀前半に成立したもので、言い伝えでは宮廷画家の藤原隆能(たかよし)に依るという、大和(やまと)絵(唐(から)絵に対抗して九世紀末に成立)の代表的な作品である。その技法には「作り絵」(墨で下書きを描き、それに塗り絵のように彩色するもの)や、「吹抜屋台(ふきねきやたい)」(屋根や天上などを省略して室内を斜め上から覗き込むような描写の方法)や、「引目鈎鼻(ひきめかぎばな)」(目を細い線で一文字に描き、鼻を鈎に描くこと)などが特色になっている。その中から、次の二つの場面を掲げることとした。

○柏木(三)
  光源氏(四十八歳)が誕生五十日目のお祝いを迎えた薫を抱く場面。手前に二人の女房。実の子ではないことを知りつつ父親として幼子を感慨深げに抱いている。『源氏物語』の本文には「いと心やすくうち笑(ゑ)みて」とあって、幼子が光源氏にほほ笑みかけているのに、この「絵巻」では眠っているように描いてある。実は、以前にI線の撮影をした折に書き直しが判明している。当初は「物語」の原文の趣を汲んで、幼子が光源氏に甘えて手をさしあげている構図であったという。「絵巻」はそれを今見る構図に描き改めて、「物語」の本文に逆らっている。なぜか?(どうぞ、考えてください)

○橋姫
  八宮の宇治山荘を訪れた薫(二十二歳)は偶然、その娘の大君と中君が琴と琵琶で合奏している姿を垣間見る場面。薫は当腰(あてごし)の帯を外に見せる珍しい締め方の直衣(のうし)姿である。右上に銀の満月(現在は変色)が描かれ、それを仰ぎ見て琵琶を弾く明朗な妹の中君と、俯き加減に落ち着いた風情を見せて琴を弾く姉の大君。その手前にお仕えしている女童(右)と女房(左)の後ろ姿。「絵巻」には垣間見の場面が多い。なぜか?(考えてください)


  [参考]三谷邦明・三田村雅子『源氏物語絵巻の謎を読み解く』(角川書店)


                 
                                 <柏木(三)>
     
                  
             
                    <橋姫>



【本学所蔵 源氏物語関連著作】
       
                           
                    【源氏物語訳本】 上段左 円地文子訳  上段右 村山リウ訳  下段 瀬戸内寂聴訳


                              
       『源氏物語絵巻;寝覚物語絵巻』        『源氏物語』(別冊太陽愛蔵版)        『人物で読む源氏物語』


                               
        『源氏物語 六條院の生活』          『季語で読む源氏物語』        『源氏・拾花春秋;源氏物語をいける』
                   
                           



図書館内の【源氏物語】関連展示風景
源氏物語(京都大学附属図書館)
源氏物語 (Wikipedia)
源氏物語展示資料一覧リスト
源氏物語千年紀について


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