桃井 治郎 准教授

文化史学科
Jiro Momoi
地中海世界を中心に西洋史を学びます
地中海における海賊の歴史や北アフリカのマグレブ地域について研究しています。従来の西洋史とは異なる視点から歴史を再読することを課題としています。


教員インタビュー

Q1

学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。

​ 大学4年生の時に1年間休学し、バックパッカーとして世界を回ったことが一番の思い出です。初めての海外で、飛行機に乗るのさえ初めてでしたが、結果として、北米、ヨーロッパ、東アフリカ、中東、南アジアをめぐり、世界一周の旅になりました。今から思えば、危なっかしいことも多々ありましたが、自分自身を見つめ直し、世界の現状について考える良いきっかけになりました。ただし、そのときに身についた放浪癖は、いまだに直っていないかもしれません。

Q2

先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。

​ もともと、大学卒業後に働いていたテレビ局を辞め、チュニジアに青年海外協力隊員として赴任したことが、北アフリカと関わることになったきっかけです。それまで、チュニジアについては何も知らなかったのですが、現地で2年間生活する中で多くの友人ができ、チュニジアの人びとや文化が好きになりました。
 帰国後、この地域について学ぼうと大学院に進学しましたが、勉強を進めていくうちに、特に北アフリカを含めた地中海圏の歴史に興味を持ちました。その後、研究所の研究員を経て、アルジェリアの日本国大使館に専門調査員として赴任する機会があり、最近では、歴史研究に加えて、テロリズムなど現代の平和の諸課題についても関心を持ち、学んでいます。

Q3

研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。

​ 海賊という存在を通して世界史を読み直す『海賊の世界史』(中公新書)という本を出版しました。一口に海賊といっても、その存在は時代や地域によりさまざまです。海賊の中には、王国を築いた海賊や国家の英雄としてたたえられた海賊なども存在します。
 海賊史研究は、海賊たちの個性そのものが興味深いということもありますが、同時に、そうした海賊たちが生きた時代について学び、海賊という存在を通して従来の世界史とは異なる「もうひとつの世界史」を読み解くことができるという点にも魅力があります。従来の歴史観・世界観を相対化し、現代の視点から世界史を再解釈するという試みは、歴史の学びとしてとてもやりがいがあり、意義深いことだと思います。

Q4

学生へのメッセージをお願いいたします。

​ 人生を80年とすると、僕らが生きることができる日数は約3万日しかありません。一日一日を大切に、いま、ここを、力いっぱい生きましょう。
 また、学生時代に、それぞれの知的好奇心に従って、良い本をたくさん読んでほしいと思います。小説でも歴史書でもノンフィクションでもかまいませんが、良い本との出会いは、大きな成長の糧となり、みなさんの人生を必ず豊かにしてくれるはずです。

教員紹介


氏名
桃井 治郎
フリガナ
モモイ ジロウ
職種
准教授
所属
文化史学科
取得学位
博士(国際関係学)
学位取得大学
中部大学
最終学歴
中部大学大学院国際関係学研究科博士後期課程中退
専門分野
西洋史、マグレブ地域研究、平和学
研究テーマ
海賊の世界史、現代マグレブ諸国の政治経済、テロリズム論
主要業績
【著書】
・『近代と未来のはざまで:未来観の変遷と21世紀の課題』(共編) 風媒社 2013年
・『アルジェリア人質事件の深層:暴力の連鎖に抗する「否テロ」の思想のために』新評論 2015年
・『「バルバリア海賊」の終焉:ウィーン体制の光と影』中部大学 2015年
・『海賊の世界史:古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで』中央公論新社 2017年

【論文】
・「19世紀のフサイン朝チュニジアにおける危機と改革(1)―アフマド・ベイの統治と対外関係」『清泉女子大学紀要』第69号、2022年
・「フサイン朝チュニジアにおけるフサイン2世ベイの統治期(1824-35年)―フランス軍のアルジェ侵攻とチュニジアの経済危機―」『清泉女子大学人文科学研究所紀要』第43号、2022年
社会活動、
文化活動等

【寄稿】
・「アルジェリア人質事件に思う:外交発想の転換を」(毎日新聞 2013年1月30日付夕刊)
・「チュニジア襲撃と民主主義」(東京新聞・中日新聞 2015年3月30日付夕刊)
・「テロリズムに抗する思想:アルベール・カミュに学ぶ」(毎日新聞 2015年4月20日付夕刊)
・「チュニジアの民主化とテロリズム」『青淵』(渋沢栄一記念財団)第803号 2016年
【その他】
・中部高等学術研究所研究員(2005-08年)
・在アルジェリア日本国大使館専門調査員(政務・経済)(2008-11年)
・筑波大学北アフリカ研究センター客員共同研究員(2013年-)