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大井 知範 准教授

文化史学科

大井 知範 准教授

近現代の西洋を広い視野から研究します
グローバル化が進む近代世界の中で西洋の人々は何を考えどう行動したか、ドイツとオーストリアを軸にグローバル時代の新たな西洋史像を探究しています。

教員インタビュー

Q1 学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。
 学生時代に一番打ち込んだことは勉強です!と自信を持って言いたいところですが、実際は学業以上にアルバイトに熱を入れていました。どうせやるなら自分の成長につながる仕事をと思い、塾講師の仕事と家庭教師を掛け持ちしました。昼は大学で授業を受け、夜は逆に教える側に立つという不思議な日常を過ごしていました。
 大学生活ではもう一つ、所属ゼミを通じて参加した合同インカレに打ち込みました。都内10校ほどの大学から国際関係学系のゼミが集まり、グループに分かれて毎週勉強会を開いていました。伝統ある大規模なインカレでしたので、たくさん本を読み発表や討論をしなければならず大変でした。でも、勉強面で鍛えられただけでなく、仲間とのグループワークやお酒の飲み方などを学び貴重な人生経験の場となりました。
 いま振り返ると、学生時代に打ち込んだこの二つの経験がおのずと私を現在の仕事へ導いたのかもしれません。
Q2 先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。
 歴史は子供の頃から好きでしたが、当時は戦国時代や幕末などもっぱら日本史が好きで、古城めぐりにはまった時期もありました。その流れで大学では日本の近現代史を専門に選びました。勉強していくなかで気づいたのは、この時期の日本の歴史をよく知るためには、世界の歴史も知らなければならないという当たり前の事実でした。
 そこでヨーロッパの歴史も学んでみようと思い、大学院ではドイツ史を専攻しました。なぜドイツを選んだかというと、高校時代に必修科目でドイツ語を学び、それ以来ドイツの歴史や文化に関心を持っていたからです。ドイツの近現代史は日本の歩みとどこか似ており、両国の関係が深かったことも決め手の一つでした。加えて、ビールとサッカーが好きだったこともドイツに魅せられた重要な要素でした。
 現在はドイツだけでなくオーストリアの歴史にも関心を向けています。ドイツの歴史とオーストリアの歴史が不可分であるという理由だけでなく、ウィーンの街並みに魅了され続けていることもその理由の一つです。
Q3 研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。
 みなさんはオーストリアの昔の国名である「ハプスブルク帝国」という名前を聞いて何を連想しますか?いろいろなイメージが浮かぶと思いますが、たとえば偉大な王家の存在、ヨーロッパ内陸部の広大な領土と多民族を統治した大帝国をイメージするかもしれません。そう、この国はスペインと合体した一時期を除いて、巨大な大陸帝国であり続けました。イギリスなど「海の帝国」と対比して「陸の帝国」と呼ばれることもあります。実際、この国は海外に植民地を持たなかった唯一の大国という称号も持っています。
 では、ハプスブルク帝国は海外のことには無関心で国内の多民族支配にいそしんだ内向きの国家だったのでしょうか?実際のところ、この「陸の帝国」の人々が海やその外の世界をどれだけ意識していたかは、ウィーンの王宮や宮殿、各博物館をめぐってみればすぐに分かります。そこには世界中から集められた膨大な収集品が展示されています。
 政治や経済の表面に見られる出来事だけでなく、こうした裏面での社会や文化の動き、人々の内面にもぜひ足を踏み入れてみてください。常識や定説とは異なるもう一つの歴史を発見できるかもしれません。
Q4 学生へのメッセージをお願いいたします。
 歴史の研究はとにかく骨が折れます。地味にコツコツと文献を集め読み進めたり、執筆したり、他者の批判を浴びて書き直したり・・・それを好んで職業にしている私でも時々嫌になることがあります。
 でも間違いなく言えることは、みなさんが挑む歴史学の探究は、人間としての底力や胆力を高める絶大な効果を持つということです。粘り強さ、根性、たくましさを養うには歴史学ほど最適な修練の場はありません。そこで得たものは、将来どの道に進もうとも必ずやみなさんの力強い味方となってくれるでしょう。何事にも負けないタフで強い精神力を身につけるために、全力で学問にぶつかってみてください。
 ただし頑張る対象が勉強だけにとどまってはいけません。やりたいことが自由にたくさんできるこの4年間は、人間としての幅を広げる貴重な機会です。学内外のいろいろなことにチャレンジして、楽しく有意義な大学生活を過ごしてください。学生時代に打ち込んだことは必ず将来につながってきます!

教員紹介

氏名大井 知範
フリガナオオイ トモノリ
職種准教授
所属文化史学科
取得学位博士(政治学)
学位取得大学明治大学
最終学歴明治大学政治経済学研究科博士後期課程修了
専門分野西洋近代史、国際関係史
研究テーマ近代のドイツとオーストリア(ハプスブルク帝国)が海外世界へ向かう動きに焦点を当て、それを近代グローバリゼーションという大きな枠組みの中で読み解く課題に挑戦している。特に、政治と軍事、科学や文化、思想の史的諸相に注目し、海外世界に対する両国のまなざしと関与の仕方を探究している。
所属学会(役職)
及び受賞歴
日本西洋史学会
史学会
日本国際政治学会
戦略研究学会
現代史研究会
主要業績・『ドイツ史と戦争 ―「軍事史」と「戦争史」―』(共著)彩流社、2011年11月
・『世界とつながるハプスブルク帝国 ―海軍・科学・植民地主義の連動―』(単著)彩流社、2016年10月
・『軍事史とは何か』(共訳)原書房、2017年3月

・「19世紀中葉のオーストリア世界遠征と科学 ―ノヴァラ号遠征(1857-59年)に見られる科学と人種主義の態様―」(『世界史研究論叢』第1号、2011年10月)
・「ハプスブルク帝国と『植民地主義』 ―ノヴァラ号遠征(1857-1859年)にみる『植民地なき植民地主義』―」(『歴史学研究』第891号、2012年4月)
・「20世紀初頭のハプスブルク帝国海軍と東アジア ―寄港地交流を通じた帝国主義世界への参与―」(『史学雑誌』第124編第2号、2015年2月)
・「第一次世界大戦前のドイツ海軍と太平洋のイギリス植民地 ―海軍を媒介とする帝国支配者の協調―」(『現代史研究』第61号、2015年12月)
・「太平洋におけるドイツ植民地帝国の電信ネットワーク ―コミュニケーション環境から見たグローバル帝国の実像―」(『政治経済史学』第588号、2015年12月)
・「越境する海軍と20世紀初頭の帝国秩序 ─ドイツ海軍から見た東アジアの共存体制―」(『国際政治』第191号、2018年3月)
・「第一次世界大戦下のヨーロッパから見た東アジア ―ドイツが注目した連合国の背面―」(『東アジア近代史』第22号、2018年6月)

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