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杉山 晃 教授

スペイン語スペイン文学科

杉山晃教授

ラテンアメリカ文学の流れをたどります
ラテンアメリカ文学を研究しています。とりわけペルーのアルゲダスとバルガス=リョサの小説を翻訳紹介してきました。目下アルゲダスの書簡集を分析中です。

教員インタビュー

Q1 学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。
 私が大学に入った年は、学園紛争のただ中で危うく入試が中止になるところでした。田舎から出てきて、4月、5月になっても授業が始まらなかったので、友だちになった年上のメキシコ人の神学生と都内のいろいろな所へ出かけました。日本語の勉強を手伝うということで行き来がはじまったのですが、机をはさんで勉強することはほとんどなかったですね。彼の用事にくっついて歩いていると、いろいろ勉強になりました。彼は小さな失敗をいちいち気にしなかったし、人の気持ちも驚くほどよくわかった。相手が日本人だろうと、アメリカ人だろうと、お年寄だろうと、女性だろうとその悩みの本質をよく見抜きました。
 その彼から銀座を歩いているときに、「君に足りないのはしっかりした判断の軸だね。それを見つけなくては駄目だよ」と言われたことがあります。なるほどとそのとき思いましたし、それが40年経ったいまも気になっています。
Q2 先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。
 入学したものの大学は閉鎖されたままだったので、牛乳工場でひと月ほど倉庫小屋の門番をやったことがあります。倉庫の中から大きな氷のブロックを引っ張り出して、ときおりミキサーにかけるのが仕事でした。のんびりした仕事で、倉庫のドア口に腰掛けて、流れる雲を眺めていればよかったのです。
 それでは間がもたないので図書館で本を借りて持って行くようにしたのですが、そうした本の中に『都会と犬ども』という変わったタイトルの本がありました。読んで見ると、「都会」は私が子供時代を過ごしたペルーのリマのことで、「犬ども」は一群の少年たちに対する蔑称でした。彼らの青春の光と影が生き生きと描かれていました。読んでいるうちにリマで過ごした日々がよみがえり、それこそ氷を引っ張り出すのも忘れて読み耽りました。
 その本がきっかけでラテンアメリカ文学を専攻するようになったわけですが、15年ぐらいしてからその『都会と犬ども』を日本語に翻訳することになりました。さらに20年が経ったところで著者のバルガス=リョサがノーベル文学賞を受賞しました。忘れがたい本です。
Q3 研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。
 ラテンアメリカの作家たちをだいぶ紹介してきましたが、なかでもペルーのホセ・マリア・アルゲダスに特別な愛着があるように感じます。その主要な作品を翻訳しましたし、研究の成果をいくつかの論文にまとめています。
 アルゲダスは白人系の作家でしたが、アンデスの山岳地で先住民のインディオたちに混じって育ったので、外見は白人でも内面はインディオだった人です。『ヤワル・フィエスタ』や『深い川』などの作品を読むと、インディオたちの独特な感覚が伝わってきます。大自然、山や川を畏怖し、リャマやアルパカ、あるいはトウモロコシやジャガイモなどとも気持ちを通わせながら慎ましく生きていくという土俗的で霊的な感覚です。
 とはいえ私の関心はそれらの作品よりも、むしろそれらを書いた作家の苦悩に向けられているように感じます。アルゲダスはアンデスと西洋、ふたつの世界の狭間で引き裂かれ、時代にも運命にも翻弄され、しだいに行き詰まってしまいます。

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Q4 学生へのメッセージをお願いいたします。
  「小さな夢に大きな努力」というフレーズに最近出くわしました。なるほどと思いました。つい大きな夢を語ったり、努力のことを忘れたりしますからね。夢が実現するとうれしいわけだから、実現できるほどの規模の夢がいいのでしょうね。がんばって小さな夢が実現すると、また次の夢に挑みたくなる。その夢も叶うと、さらに次の夢へと勢いがつく。遠かった大きな夢もやがて近づいてきて、手が届くようになる。分厚い小説を読むときや、レポートを書くときにも応用ができそうな考え方です。プレッシャーを抱かずに、むしろ楽しみながら大きな目標を達成するコツです。そして、小さな夢を抱けるほどのやわらかな心さえあれば申し分ありません。
 

教員紹介

氏名杉山 晃
フリガナスギヤマ アキラ
職種教授
所属スペイン語スペイン文学科
取得学位文学修士
学位取得大学東京外国語大学
最終学歴スペイン国立遠隔教育大学(文学部スペイン文学.文学理論学科)博士課程単位取得
専門分野ラテンアメリカ文学
研究テーマラテンアメリカ文学、なかでもぺルーの作家ホセ・マリア・アルゲダス(1911-1969)を研究している。幼少時代を先往民インデイオとともに育ったアルゲダスは、独特の文体でアンデスの人びとの文化や伝統、その豊かな精神世界を『深い川』や『ヤワル・フィエスタ』といった作品に描き出した。そうした作品の研究や翻訳を手がけている。
所属学会(役職)
及び受賞歴
日本イスパニヤ学会
日本ラテンアメリカ学会
Latin American Studies Association
主要業績・(著書)『ラテンアメリカ文学バザール』 現代企画室
・(著書)『南のざわめき』 現代企画室
・(論文)Los personajes de José María Arguedas: de “Warma kuyay” a “Agua”
・(翻訳)『深い川』 ホセ・マリア・アルゲダス著 現代企画室
・(翻訳)『都会と犬ども』 バルガス=リョサ 新潮社
・(翻訳)Misceláneas primaverales,Natsume Soseki,Ed. Satori.

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