フィールドワーク体験記(マレーシア)

H.Y.さん 【2年次に参加】
私立 桐蔭学園高等学校 出身

マレーシアでのフィールドワークを選んだ理由

 8月15日から9月14日の1か月間、地球市民学科の3年次生4名、2年次生6名の計10名でマレーシアのペナン島でのフィールドワーク(以下FW)に参加しました。このマレーシアでのFWでは、FWだけでなく、英語の研修も受けることができ、さらに、30万円以下で1か月間も外国に滞在できることから、参加を決めました。

多文化を受け入れるペナン島

 ペナンはリゾートの島というイメージが強く、世界遺産であるジョージタウンや、美食の街としても知られています。ジョージタウンにはイギリス植民地期の影響を受けたコロニアル建築、カラフルな中国寺院、インド式のモスクがあります。つまり、イギリス、中国、インドの文化が混在しているのです。教会のすぐ隣に中国寺院が建ち、近くのモスクからアザーン(礼拝の時間を知らせる音)が大音量で流れているという状況は、ペナンでは当たり前の光景でした。そのため公用語も様々です。基本はマレー語か英語ですが、中国語、インド語、タミール語もよく耳にしました。世界美食ランキングで必ず上位にランクインするだけあって、どれを食べても安い!美味しい!量が多いです。屋台では、150円もあれば豪華な食事ができます。

英語研修を通して向上した英語力

英語研修のクラスメイトとフィールドトリップへ英語研修のクラスメイトとフィールドトリップへ
KELLIES CASTLEというお城の前でKELLIE'S CASTLEというお城の前で
 月~木曜日は大学での授業、金曜日は週末に行うFWの内容に関する講義を英語で受け、週末はFWに出掛けます。平日はマレーシア、タイ、中国、ベトナム、サウジラビア、インドなどの国籍を持った人たちと一緒に授業を受けます。授業内容は文法や発音練習、グループワークが主でした。さまざまな国籍の人がいるため、それぞれ英語に独特のなまりを持っています。例えばタイ人の方が発する言葉が私には「チャーチャー」としか聞こえず、初めは何を言っているか分かりませんでした。結局「チャー」はshareのことでした。このようにマレーシア、タイ、ベトナム、それぞれのなまりをもった英語を必死に聞き取る努力をしたおかげで、帰国後、ネイティブの先生の授業を受けた時に、リスニング力が向上していることを実感しました。

フィールドワークで社会の現実に直面

パームオイルプランテーションで、オイルの素となるアブラヤシを手に持ってパームオイルプランテーションで、オイルの素となるアブラヤシを手に持って
 1週目に行ったジョージタウンは煌びやかな街ですが、一本脇道に入ると、目を疑うような光景を目にすることもあります。ここが世界遺産なの?と思うほどの街の汚さと、物乞いする人の多さに驚きました。屋台のすぐ裏で豚や鶏が生きたまま解体されていることもあります。

 2週目は現地の人々の暮らしを体験しました。ホームスティではマレーシア語しか話さない人も多く、身振り手振りだけで自分が言いたいことを伝えることの難しさを知りました。また、マングローブの植林体験を通して、環境汚染の実態や労働者の高齢化問題を学ぶことができました。

 3週目はパームオイルプランテーションを見学しました。パームオイルはシャンプーやマーガリンなど様々な製品に使われており、世界で最も消費されている植物油です。しかしそのパームオイルプランテーションで働く外国人労働者には、不法入国や人身売買に関わっている仲介業者に騙されて連れてこられた人々が多い、ということを前日の講義で学びました。パームオイルプランテーションの生産は隔離された広大な土地で行われています。人身売買や労働者の奴隷化、虐待が存在するという現実に直面し、衝撃を受けました。インタビューした人の中には10代の人もいて、自分と同じ歳なのに生きている環境がこんなにも違うのか、と社会の現実を突き付けられた思いでした。

 4週目はイスラム教の女性問題について講義を受けました。イスラム教の女性が置かれている厳しい状況を知ることができました。また、マレーシアでも未だに女子割礼が行われている地域があるということにも驚きました。

 英語研修も体験できるマレーシアでのFWは、コストパフォーマンスがとても良く、おすすめです。楽しいことだけではない、山あり谷ありのこのFWは、きっと大きな満足を与えてくれる経験となるに違いありません。