仲谷 健太郎 専任講師

日本語日本文学科
仲谷健太郎専任講師
古代の和歌を学びます
『万葉集』を中心に、奈良時代の和歌や漢詩について研究している。中国文学からの影響も視野に入れ、韻文の表現がどのように変化したのかを考えます。


教員インタビュー

Q1

学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。

 「大学生活は人生最後の夏休み」といいますが、その言葉通り、人生で一番自分の好きなことばかりをしていた四年間でした。一人旅をしてみたり、本やCDを買い漁ったり、ライブやコンサートに通ったり…色々なことに手を出しました。当時大学の近くに下宿していましたから、友人と夜通し酒盛りやゲームをしたのも良い思い出です。
 特に打ち込んだのは部活動で、入学と同時に大学のオーケストラ部に入り、コントラバスという楽器を弾いていました。講義とアルバイトの時間以外はほとんど部室に入り浸っていて、楽器を弾いたり、部員とおしゃべりをして過ごしました。また、他大学のオーケストラ部にもヘルプに行っていましたので、学外の友人が沢山出来たのも大きな収穫でした。オーケストラで出来た交友関係は今でも続いていますから、得難い経験をしたと感じます。

Q2

先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。

 実は高校生の頃、古文の授業が大嫌いでした。古文漢文の作品内容を読むのは好きだったのですが、いかんせん授業が品詞分解ばかりで絶望的に面白くなかったのです。もっぱら時計を眺めるか、居眠りをして過ごしていた気がします。
 ところが大学で日本文学や語学の講義を受けてみると、高校の授業とは比べ物にならないほど面白いのです。文学作品が歴史や文化など様々な背景を背負っていることを学び、それまで教科書の上の文字列でしかなかったものがとてつもなく奥深いものであることに気付かされました。
 元々民俗学や歴史学に興味があったのと、「どうせやるなら一番古い時代をやりたい」と思い、様々な知識を交えて講義をしてくださった先生の下で『万葉集』を学ぶことにしました。いざ学び始めると途方もなく広く面白い世界が広がっており、すっかり魅了されてしまいました。

Q3

研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。

「上代文学はよく分からない」とよく言われます。まったくその通りです。文献は漢字ばかりで読みにくいですし、一般的な古典の知識が通用しない部分もたくさんあります。未だに読んでいて「なんじゃこりゃ?」と思わされることも少なくありません。
 ただ、その混沌とした“分からなさ”が面白いのです。一つ一つの文を丁寧に読み解き、文学作品だけにとどまらず、木簡や正倉院文書などの文字資料、中国文学、時には考古学の研究成果までもが作品を解き明かす鍵として用いられます。
 そうして様々な手段を以って新たな解釈に辿り着いた時には、まるで地面から化石や遺跡を掘り当てた時のような、すごいものを見つけたぞ!という爽快感があります。分からないものを分かるものにする気持ち良さこそが、上代文学を研究する一番の面白さだと思います。

Q4

学生へのメッセージをお願いいたします。

 文学部なんか行ってどうするの?何の役に立つの?と言われたことはないでしょうか。私自身、「男が文学部なんて、それも大学院まで行くとは何事だ」とまで言われたことがあります。確かに文学には病気を治したり、製品の製造効率を上げる力はありません。そういった点では役に立たない学問でしょう。
 しかし、文学を学ぶことで、既存の知識で論理を構成する力が得られます。配られた手札でいかにその局面を乗り切るかを考えられるようになるのです。これは人生において様々な逆境や分岐点に立たされた時、自身を助ける強力な武器となります。文学は直接的に就職と結びつく学問ではありませんが、決して何の役にも立たない学問ではありません。自身の人生をより良くするための術を学ぶものだと信じています。

教員紹介


氏名
仲谷 健太郎
フリガナ
ナカタニ ケンタロウ
職種
専任講師
所属
日本語日本文学科
取得学位
博士(言語文化学)
学位取得大学
大阪府立大学
最終学歴
大阪府立大学大学院博士後期課程(人間社会学研究科 言語文化学専攻)修了
専門分野
日本上代文学
研究テーマ
『万葉集』を中心とした上代韻文の研究
『万葉集』を中心に、上代に詠まれた和歌や漢詩といった韻文作品の表現について、同時代の文字資料との関連や、中国文学からの影響の面から研究することをテーマとしている。近年はこれまで閑却されてきた木簡や正倉院文書などの歴史資料に記された韻文について取り組む。
所属学会(役職)
及び受賞歴
上代文学会
美夫君志会
万葉語学文学研究会
萬葉学会
主要業績
・「『万葉集』の「雪」の歌・「梅」の歌」(『萬葉語文研究』11)2015年9月
・「巻七雑歌部の「詠倭琴」歌について」(『上代文学』116)2016年4月
・「譬喩歌の輪郭 ―名詞分布の比較を通じて―」(『美夫君志』93)2016年12月
・「万葉集の「に」と「そほ」」(『萬葉』224)2017年10月
・「「造東大寺司牒案」紙背の七言絶句について」(『上代文学』119)2017年11月
社会活動、
文化活動等

・堺市立栂文化会館文芸講座「やさしい万葉集」講師 2016年5月~2018年3月