土曜自由大学

春と秋の土曜日に行っている無料講座「土曜自由大学」のご案内です。

土曜自由大学とは

本学の「人文科学研究所」「キリスト教文化研究所」と「品川区」が共催で、春は5月、秋は10月の土曜日に行っている無料の公開講座です。各分野の専門家の講義を一般の方に聴いていただこうという趣旨の講座です。品川区を通じてお申し込みいただけます。ぜひご参加ください。
土曜自由大学


第42回土曜自由大学(春のコース)プログラム

2024年5月11日(土)

13:00~

開講式挨拶

清泉女子大学 人文科学研究所長              鈴木 崇夫 (すずき たかお)
品川区 文化観光戦略課長                 大森 直人 (おおもり なおと)

13:10~14:40

●テーマ
戦禍のなかの聖職者
  ―ロシア伝統宗教と軍隊―


●講演要旨
 2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まりました。ロシアの主要宗教とされる正教会やその他伝統宗教とされるイスラーム、仏教の指導者たちは戦争を是認する姿勢をとっていますが、聖職者のなかには戦争に反対して国外脱出や辞職を余儀なくされる人びともいます。他方、軍隊とともに前線に赴く聖職者、つまり従軍チャプレンもいます。今回は、戦争開始後の伝統宗教の状況を概観したうえで、とくに従軍チャプレンに焦点をあてて、戦争と宗教について考えてみたいと思います。


●講師
清泉女子大学文化史学科准教授   井上 まどか(いのうえ まどか)
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は宗教学、ロシア宗教史。共編著に『ロシア文化の方舟:ソ連崩壊から二〇年』(東洋書店、2011)、近年の論考として「軍隊とロシア正教会」(『現代宗教2023』、2023)、「国家の世俗性のゆくえ:ロシアの宗教教育を事例として」(『ヨーロッパの世俗と宗教:近世から現代まで』2020)、「ロシア連邦における政治と宗教のいま」(『ユーラシア研究』第62号、2020)など。

14:50~16:20

●テーマ
『カラマーゾフの兄弟』と東方キリスト教

●講演要旨
 『カラマーゾフの兄弟』は、ドストエフスキー最晩年の名作である。表層のプロットは、四人の兄弟がいかに父親殺しに関わったかというものだが、作者自身が作品の中心と考えていたのは、第五篇「プロとコントラ」および第六編「ロシアの修道僧」である。第五篇では次男イワンの神に対する反逆が描かれ、第六編ではそのアンチテーゼとして三男アリョーシャおよびその師父ゾシマ長老が信仰する東方キリスト教が描かれている。この作品における東方キリスト教の意味について考察したい。


●講師
東京大学名誉教授   安岡 治子(やすおか はるこ)
1956年生まれ。専門は20世紀ロシア文学、ドストエフスキーと東方キリスト教、ロシア文化における東と西など。(共著)『ロシア文学案内』岩波書店、 2000年。『ユーラシア世界①<東>と<西>』東京大学出版会、2012年。『反米―共生の代償か、闘争の胎動か』東京大学出版会、 2021年。(論文)「ゾシマ長老と東方キリスト教」『エイコーン』33号、東方キリスト教学会、2006年、 pp.29-50。「ロシア文化におけるリーチノスチ」東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻紀要Odysseus 25、2021年、pp.35-43など。

2024年5月25日(土)

13:10~14:40

●テーマ
近代世界システムとカリブ海賊

●講演要旨
 16世紀から18世紀初頭のカリブ海では、スペインの船舶や植民地などを襲う海賊行為が横行した。フランシス・ドレークやヘンリー・モーガン、黒ひげティーチなど、おなじみの海賊が登場する時代である。本講演では、この時期にカリブ海でなぜ海賊が出現し、黄金期を迎え、そして18世紀初頭に消え去ったのか、カリブ海賊の歴史をI・ウォーラーステインの世界システム論の文脈に置いて考える。


●講師
清泉女子大学文化史学科教授   桃井 治郎(ももい じろう)
中部大学大学院国際関係学研究科博士後期課程中退。博士(国際関係学)。専門は西洋史、マグレブ地域研究、平和学。中部高等学術研究所研究員、在アルジェリア日本国大使館専門調査員、中部大学国際関係学部准教授などを経て、現職。主な著書に、『海賊の世界史:古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで』(中公新書、2017年)や『アルジェリア人質事件の深層:暴力の連鎖に抗する「否テロ」の思想のために』(新評論、2015年)がある。

14:50~16:20

●テーマ
残留日本兵の歴史
 ―天皇陛下とインドネシア残留日本兵子孫の面会の背景―


●講演要旨
 近年、日本の皇族が子孫と面会して注目されている残留日本兵。彼らはどのような歴史を歩んできたのでしょうか。日本軍・連合軍・現地政府が彼らに複雑なまなざしを向ける一方で、彼らは戦後に「独立の英雄」として振る舞うようになり、日本でもアジア解放戦争に貢献したとみなされていきます。こうした残留日本兵の歴史を、筆者が収集した資料を紹介しながら、組織と個人の視点から読み解いてみたいと思います。

●講師
二松学舎大学文学部准教授   林  英一(はやし えいいち)
慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。一橋大学博士(社会学)。インドネシア残留日本兵の社会史研究で日本学術振興会育志賞受賞。著書に『皇軍兵士とインドネシア独立戦争』(吉川弘文館)、『残留日本兵』(中央公論新社)、『残留兵士の群像』(新曜社)など。


申し込み方法

必要事項

往復はがきに「清泉女子大学“土曜自由大学”希望」として、
以下をご記入のうえ、下記宛にお送りください。
・住所
・氏名(ふりがな)
・年齢
・連絡先電話番号

〒140-8715 品川区広町2-1-36 
  品川区文化観光戦略課 生涯学習係 まで

※品川区ホームページから電子申請もできます。
品川区ホームページの電子申請からお申込みください。

申込期間(春のコース)

4月1日(月)~ 4月22日(月)〈必着〉

受講にあたって

受講料無料
受講対象者16歳以上で受講を希望される方
定員150名(定員を超えた場合は抽選)抽選の結果は4月26日以降になります。
会場清泉女子大学 2号館4階 240教室
受講上の
注意
・受講には品川区発行の受講証が必要です。
 受講を希望される方は、必ず申込手続きをお取りくださいますようお願いいたします。
・いただいた個人情報は(1)出席簿の作成(2)事務連絡(3)統計資料作成を目的に使用させていただきます。

お問い合わせ先

品川区文化観光戦略課 生涯学習係     
TEL:03-5742-6837(直)  FAX:03-5742-6893