言語文化専攻(修士課程)

清泉女子大学大学院言語文化専攻についてのご紹介です。



言語文化専攻の特徴

言語文化、すなわち言語によって表される文化を、
日本語・英語・スペイン語の3つの言語圏について、
文学・言語・第二言語教育(英語圏のみ)の3つの分野で研究を深めます。

言語文化専攻では「言語文化」を「言語によって表される文化」として捉え、「文学の研究」と「言語の研究」を中心に据えています。研究領域として日本語、英語、スペイン語を基軸とする3つの言語文化圏を設定し、研究分野として「文学」「言語」「第二言語教育(英語圏のみ)」を置いています。これらの分野において総合的・体系的・横断的に学識を深め、論理的思考力を養い、広い視野と高い専門性を追究します。

言語文化専攻の目的

  1. 上記の各分野において必要な研究手法と研究能力を有した研究者の育成。
  2. 学問的素養と見識を備え、広く文化的領域で活躍できる人材の育成。
  3. 言語教育において高度で専門的な職業能力を有した人材の育成。

言語文化専攻概要

科目構成

●必修科目
言語文化総合演習I, II
修士論文指導

●言語文化研究基礎科目
言語理論
文学理論
●文学に関する科目
日本古典文学特殊研究I, II
日本近代文学特殊研究I, II
漢文学特殊研究
日本古典文学演習I, II
日本近代文学演習I, II
英語圏文学特殊研究I, II, III
英語圏文学演習I, II
スペイン語圏文学特殊研究I, II, III
スペイン語圏文学演習I, II, III
聖書文学特殊研究
日本キリスト教文学特殊研究
西欧キリスト教文学特殊研究
比較文学特殊研究I, II
言語文化伝達に関する科目
第二言語教育特殊研究I-1, I-2, II, III
第二言語教育演習I, II, III
言語教育政策特殊研究
翻訳法特殊研究I, II
翻訳法演習I, II
●言語学に関する科目
日本語学特殊研究I, II
日本語学演習
英語学特殊研究I, II
英語学演習
スペイン語学特殊研究I, II, III
スペイン語学演習I, II
対照言語学特殊研究
●関連科目
情報処理特殊研究
リサーチ入門

取得可能な資格

※専修免許状の取得には、希望する教科の一種免許状を取得していることが条件となります。
  • 中学校教諭専修免許状:国語、外国語(英語・イスパニア語)
  • 高等学校教諭専修免許状:国語、外国語(英語・イスパニア語)

修士論文のテーマ

全てを開く
日本語圏
文学
  • 福沢諭吉の独立精神―ベトナムの現代人の立場から―
  • 『歯車』における機能としての<ゆるみ>―芥川芸術の完成に向けて―
  • 『源氏物語』の「色好み」の考察
  • 覚一本『平家物語』における屋島合戦譚の一考察
  • 芥川龍之介<神聖な愚人>論
  • 昔話の教育―現状と展望―

言語
  • 延慶本『平家物語』における和語の表記方法の研究
  • 近代国語辞書としてみた『言海』の特徴―周辺資料と比較しながら―
  • 『言海』の見出し項目間の結びつきについて―「〇〇ニ同ジ」という形式を中心に―
  • 明治期漢語の諸相―森鷗外作品を主な資料として―
  • 幕末明治期草双紙の漢語語彙について
英語圏
文学
  • Puritan Thoughts and Americanism in the Works of Henry James
  • 『終わりよければすべてよし』における結末の意味
  • A Comparative Study of Pictorial Motif Seen in Kusa Makura and Jane Eyre
  • ヴィクトリア朝における「アリスの服」と「グリーナウェイ・ドレス」の受容
    -2冊の『アリス』と『窓の下で』に基づく分析-
  • ウィルキー・コリンズとセンセーション小説
    -『バジル』、『白衣の女』、『アーマデイル』に見られる結婚からの解放-

言語
  • 海外語学研修が日本人大学生の英語の動機づけに与える影響について
  • 中学英語検定教科書の中の「ポライトネス」事象に関する研究
  • 日本人大学生の英語作文力に関する研究―パラグラフの展開を中心として―
  • 英語教材に見られる語彙研究-学習負担軽減のための方略を視野に入れて-
  • コミュニケーション能力の基盤となる英文法指導と学習活動に関する研究
    ―中等教育段階における教科書分析を中心に―
  • 日本人女子大学生の英語学習動機づけの変化
    -L2 動機づけ自己システム理論を応用して-
スペイン語圏
文学
  • フリオ・コルタサル初期短編集Bestiarioにおける「私」―語りと視点について―
  • エステル・ツゥスケツが描いた母娘関係について―フランコ独裁(1939-1975)から民主化に向かうスペイン社会における女性の生き方―
  • 十字架の聖ヨハネの詩における世俗の影響を探る
    ―聖人による「愛」の表現の文学的読解を目指して―
  • アナ・オソーレスと『ラ・レヘンタ』の舞台ベツスタ
    ―十九世紀写実主義文学における地方都市と逃避願望―
  • ホセ・マリア・アルゲダスが描くダンサック(ハサミの踊り手)の役割について
    -『ヤワル・フィエスタ』を中心に-

言語
  • ガブリエラ・ミストラルの詩集Lagar の韻律学に基づく分析
    ―アントニオ・キリスの韻律学を基本として―
  • スペイン語の「名詞 + 名詞」型複合名詞の複数形について
  • Estudio contrastivo de los peruanismos utilizados en Japón y en Perú
  • 初級スペイン語学習者に対する直説法現在完了の指導法
  • 日本語を活かしたスペイン語の明示的文法指導 −3人称複数形を用いた無人称表現を中心に−
  • 語用論的機能は字幕翻訳にどう表出されるか
    -スペイン語映画「ザ・ウォーター・ウォー」を題材に-
  • スペイン語前置詞paraとporに関する考察

専任教員一覧

日本語圏

今野 真二 教授

【専門分野】
日本語学
【研究テーマ】
日本語学の中でも「日本語の歴史」の追及をテーマとする。室町時代と明治時代を中心とするが、ひろく上代から近代までの間に日本語がどのように変化してきたかを観察し、事実の羅列ではない、体系的な日本語の歴史を記述することを目標としている。また日本語を仮名と漢字とによって文字化するということ、すなわち「日本語の表記」に関しての分析も行っている。

佐伯 孝弘 教授

【専門分野】
日本近世文学
【研究テーマ】
日本近世小説、特に江島其磧の八文字屋本などの浮世草子を研究テーマとする。後続作者たちの西鶴享受や、浮世草子と噺本・読本・演劇などの 他ジャンルとの関係、作中への実事件・モデル・ 巷説の取り込み等の視点から、浮世草子の趣向性や文芸性を考察して来た。近世前期の怪異小説 や笑話も専門にしている。

鈴木 直子 教授

【専門分野】
日本近現代文学、ジェンダー論
【研究テーマ】
専門は日本近現代文学。主に、女性文学・戦後文学・沖縄文学などを研究。島尾敏雄をはじめ、太宰治、大城立裕、倉橋由美子、平塚らいてう、林真理子などを論じている。ジェンダー・セクシュアリティ、社会格差、サブカルなど、小説という窓から見えてくる社会や文化の諸相に関心を持っており、特にジェンダーについては女性表現と女性身体をめぐる近代の歴史的動向などをふまえ、比較文化・文学的視点も意識しつつ研究をすすめている。

田和 真紀子 教授

【専門分野】
日本語史
【研究テーマ】
日本語学、特に副詞の意味・機能の史的変遷と副詞の語彙体系化を主要な研究テーマとする。中古・中世前期・中世後期までの資料を中心に調査を行い、副詞の意味・機能がどのように変遷してきたかを観察・記述してきたが、最近は現代日本語の成立に至る副詞の変化にも興味を持っている。特に、日本語程度副詞については、意味・機能の変遷過程をもとに体系化することを目標としている。

藤井 由紀子 教授

【専門分野】
日本中古文学、物語文学
【研究テーマ】
日本中古文学、特に、『源氏物語』を中心とする作り物語を主要な研究テーマとする。日記・説話等の周辺ジャンルとの関わりも視野に入れ、物語がどのように生成されていったのかを考究している。近年は、鎌倉・室町時代に成立した作り物語も研究対象とし、『源氏物語』からの影響を精査することによって、文学史上の『源氏物語』の位置づけ、ひいては、物語というジャンルそのものの位置づけを明確にすることを目標としている。

藤澤 秀幸 教授

【専門分野】
日本近代文学
【研究テーマ】
日本近代文学、特に明治文学を研究テーマとする。作家としては泉鏡花、島崎藤村、北村透谷を主な研究対象としている。泉鏡花の研究では彼の幻想小説に、島崎藤村の研究では彼の詩に、北村透谷の研究では彼の評論に重点を置いている。昭和の戦後文学、平成の文学にも関心を寄せている。小説と映画・演劇との関係、大衆小説のヒーロー像にも関心をもつ。

姫野 敦子 准教授

【専門分野】
日本中世文学、歌謡文学
【研究テーマ】
日本中世文学、特に『閑吟集』『宗安小歌集』「隆達 節歌謡」などに収録される「中世小歌」を中心とし た歌謡圏を主要な研究テーマとする。「中世小歌」 の表現について、和歌などの先行文芸からの影響 を鑑みながら、分析し、小歌独自の表現とは何か を研究対象としている。また、中世における音楽 説話にも関心を寄せている。


【英語圏】

阿川 敏恵 教授

【専門分野】
英語教育学、動機づけ、第二言語習得論
【研究テーマ】
日本人大学生英語学習者の動機づけを中心に研究をおこなっている。自己決定理論の枠組みを使った研究を実施しているほか、L2動機づけ自己システムやグループ・ダイナミスと動機づけの関係にも興味を持っている。研究手法としては、質問紙等を用いた量的なものの他、面接調査等を実施してそれを質的に分析するもの、量・質を組み合わせたいわゆるMixed Methodを用いている。動機づけのほか、コミュニケーション方略、協同学習等にも関心がある。

米谷 郁子 教授

【専門分野】
初期近代イギリス文学
【研究テーマ】
シェイクスピア作品をはじめとする初期近代イギリス演劇、およびその18世紀以降における本文校訂、翻案理論などの表象文化研究。とりわけperformance, performativityと現象学、動物論からみた初期近代英国文学、演劇における女性の発話表象分析(female counsel)。文学批評理論研究としては、フェミニズム理論・クィア理論研究。

斉藤 悦子 教授

【専門分野】
アメリカ文学
【研究テーマ】
19世紀アメリカの思想と文学を主な研究対象とする。資本主義の超大国となった現代のアメリカ合衆国の原型が完成される「金メッキ時代」を焦点に、その時代の「アメリカ観」をめぐる思想的葛藤を、マーク・トウェインを中心とした文学や「西部」を題材とした文化表象の中に探る研究に取り組んでいる。

笹田 裕子 教授

【専門分野】
米児童文学、ファンタジー文学
【研究テーマ】
英米児童文学、特にイギリスのファンタジー作品を研究対象とする。日常の中の魔法や身近な別世界を描くライト・ファンタジー、現実世界である「第一世界」に対する「第二世界」として構築された別世界を舞台とするハイ・ファンタジーをはじめ、多様なファンタジー作品について、別世界の構築、語りの手法、および普遍性に関する検証と分析を重ねている。映像や絵本など視覚化された作品や、伝承、児童文化などにも関心を寄せている。

鈴木 卓 教授

【専門分野】
言語教育学、談話分析
【研究テーマ】
実際に日常的文脈の中で使用される言語である「談話」の分析(談話分析)と、その第二言語教育への応用(言語教育学)を専門としている。例えば友人同士が喫茶店でするくだけた会話を、英語母語話者と日本語母語話者で比較し、そこに現れる談話のジャンルや構造・しくみ等を研究している。

高田 智子 教授

【専門分野】
英語教育・応用言語学
【研究テーマ】
コミュニケーションを目的とした外国語学習の枠組であるCEFRの、日本の学校英語教育への適用を専門としている。行動中心主義や学習者の自律というCEFRの教育理念を具現化するための言語タスクとその指導法、およびテストタスクの開発に取り組んでいる。CEFRの視点から検定教科書を分析し、活用への提案をするなど、実践に寄り添う研究を目指している。千葉県公立学校から長期研修生受入れの経験がある。

田中 典子 教授

【専門分野】
語用論
【研究テーマ】
実際の場面で言語がどのように用いられ、それがどう理解または誤解されるかを研究対象とする「語用論」を専門としている。例えば、同様の状況下で、英語と日本語ではその表現方法がどのように異なり、それが異文化間のコミュニケーションにどのような問題を持ちうるのかを調査・研究する異文化間語用論も主な対象のひとつである。また、相手との社会的距離や力関係によって、用いられる配慮表現がどのように異なってくるかというポライトネスの観点からの談話分析も行っている。

和田 桂子 教授

【専門分野】
英文学・比較文学
【研究テーマ】
主に20世紀英文学と日本近代文学との影響関係を研究対象としている。たとえばモダニズム文学の日本における受容、あるいはロンドンを訪れた日本人文学者によるイギリス文化の摂取、といったテーマに取り組んでいる。

アンナ・ササキ 専任講師

【専門分野】
翻訳、児童文学翻訳
【研究テーマ】
翻訳学の中でも児童文学翻訳を中心に研究しています。日本語で書かれた児童文学が英語に訳される時に発生する翻訳問題と、逆に英語で書かれた児童文学が日本語に訳される時に発生する問題を翻訳理論の言葉で論じ、比較を行いながら翻訳の品質向上手法の分析を行います。また、児童文学の翻訳研究の過程では「児童文学とは何か?」「対象読者の子供は誰か?」等の論点提起と応答を通じて深堀を進めています。


スペイン語圏

木村 琢也 教授

【専門分野】
スペイン語学、音声学
【研究テーマ】
スペイン語の音声学・音韻論、特にアクセントとイントネーションを主な研究テーマにしている。スペイン語発話のピッチ(声の高さ)変化の要因を解明し、抽象的な音韻論から音響音声学までをひとつの理論で結びつけることを目指す。その他スペイン語学全般および日本語とスペイン語の文法の対照研究にも興味がある。

齊藤 文子 教授

【専門分野】
スペイン語圏の文学
【研究テーマ】
研究領域はスペイン及びラテンアメリカの文学。なかでも16、17世紀のスペイン文学黄金時代に生まれ、西洋近代小説の元祖となったといわれる『ドン・キホーテ』がどのような歴史・社会・文学的背景から書かれたのかを研究している。最近は作者セルバンテスが当時の社会のマイノリティーに向けていたという視線から、彼のもうひとつの傑作である『模範小説集』の分析を進めている。

齋藤 華子 教授

【専門分野】
スペイン語教育学
【研究テーマ】
自律的な外国語学習者育成を目標に、スペイン語を学ぶ日本の大学生に適した語彙リストの作成や語彙指導法、多読活動に利用できる教材の検討を始めている。また外国語学習における初等・中等教育の連携も視野に入れながら、外国語学習の意義を考えている。

パロマ・トレナド 教授

【専門分野】
言語教育学
【研究テーマ】
Estudio de estrategias de aprendizaje con atención especial a la adquisición de vocabulario.En el proceso de adquisición de lenguas, el uso de estrategias permite al estudiante a planificar de forma efectiva el aprendizaje para poder conseguir sus objetivos teniendo en cuenta sus propias características.

長野 太郎 教授

【専門分野】
ラテンアメリカ研究、ポピュラー文化研究
【研究テーマ】
中南米・カリブ地域にまたがるラテンアメリカを文化的連続体ととらえ、その生成過程や基本的特質を明らかにしようとしている。なかでも音楽やダンスをめぐって、社会状況との関連、移動、拡散、越境への対応、宗教的観念と身体性の相関に関心がある。具体的には、アルゼンチンにおける民俗舞踊の制度化、ラテン音楽・ダンスのグローバル化を研究テーマとしている。

駒井 睦子 准教授

【専門分野】
スペイン語圏の近代詩と女性の文学
【研究テーマ】
スペイン語圏の近代詩および詩人の研究を専門としている。19世紀のロマン主義詩、その後のスペイン語文学界を席巻したモデルニスモという文学運動、そしてポストモデルニスモを経た前衛文学への流れを追っている。その中でも近年私がとりわけ強い関心を持っているのは、ラテンアメリカで次々と頭角を現した女性詩人たちである。詩の書かれた背景から作品を読み込むのはもちろんのこと、詩作品に用いられるイメージや表現を丁寧にときほぐし個々の作品を分析している。


共通

福田 健 教授

【専門分野】
認知科学、情報セキュリティ心理学
【研究テーマ】
人の学習や判断のメカニズム、特に領域知識を十分に持たない状況での類推や因果推論について取り上げている。一例として、ネットワークや計算機などの情報処理システムについての初心者が情報セキュリティについて問題解決する際の、判断や学習内容のゆがみ、学習の手がかりなどを検討している。