学んできた日本美術史の知識を活かし、
美術品に興味を持ってもらえるような仕事がしたい
[株式会社MORITA]
仏像コンシェルジュ
瀬尾 彩加さん
2015年 文化史学科 卒業
私立 大妻中野高等学校 出身
Q1:現在の勤務先に就職されたきっかけ、理由を教えてください。日本美術に携わる仕事がしたい、との思いで就職活動を進めていたとき、この会社と出会いました。ここならば仏像の知識を生かしながら仕事ができると思ったのがきっかけです。新卒の募集がない会社でしたが採用を行っているかメールで尋ねたところ、社長自らが返信してくださり、面接の機会をいただきました。
Q2:現在のお仕事の内容について概要を教えてください。入社して3年目。「仏像コンシェルジュ」という肩書きで仕事をしています。
小さな会社ですから、入社当初から多岐にわたる仕事をしてきました。入社当初はテレビやラジオに出演したり、職場近くのカフェで講座を開いたりしたこともありました。現在も主に仏像の資料収集やコンテンツの製作、SNSの更新、接客など幅広く仕事をしています。営業の仕事もはじまり、展示会にも参加。担当の取り扱い店舗も多くなってきました。同じ内容の仕事を繰り返すだけではなく、いつも新しい仕事に挑戦したいと思っています。
Q3:現在のお仕事でやりがいを感じる点、良かったと思う点を教えてください。扱っているのは、主に国宝や重要文化財の仏像をモデルにした装飾目的の商品です。「仏像ってよく見たら面白いね」「本物を見たくなった」と言っていただき、仏像に興味を持ってくださるお客様が増えることが嬉しく、やりがいに繋がっています。
つい最近、大学時代からお世話になっている山本勉先生に監修をお願いした商品が発売されました(上の写真で手にもっている仏像です!)。彫刻家や彩色師の方の力もあって見事なものができ、お客様にも好評です。恩師と私が関わった商品がたくさんのお客様の元に届くことを大変嬉しく思っています。
Q4:清泉女子大学で学んだ4年間がお仕事や生活など、人生で活かされていると感じることは、どんなことですか。日本美術史のゼミナールで仏像を専攻したことが今の仕事に役立っています。たとえば、仏像に関する資料収集の仕方を知っているおかげで、仕事に必要な資料をスムーズに探すことができています。また、ゼミナールや学芸員課程の勉強の内容が接客の話題になったり、展示方法のヒントになったりしています。
大学時代は写真部でした。会社のSNSで写真を投稿する際、見栄えの良い写真をアップすることができるのは、大学時代の部活動と今なお続く交流のおかげです。
Q5:清泉女子大学の学生生活で印象に残っているエピソードを教えてください。山本勉先生のゼミナールで仏像の調査に行ったことが印象的です。お寺に直接伺わせていただき、仏像調査のお手伝いをするという貴重な体験をさせていただきました。学部生の私たちは調査時、先生と大学院生が主に仏像を測ったり、じっくり観察してメモを残したりしている様子を見ていることがほとんどでしたが、このような地道な作業の積み重ねによって報告書が出来上がり、それらを踏まえて新たな研究が生まれる可能性があるのだと思い感動したことを覚えています。
Q6:就職活動の際に大学から受けた支援や、先生・友人などからかけられた言葉など、就職活動を進める上で活力になった事がありましたら教えてください。キャリアガイダンスや就職ガイダンスで就職希望者に向けたさまざまな講座が行われており、就職活動の不安はだいぶ軽減しました。たとえば授業内で卒業生の話を聴くことができる機会が毎年設けられており、先輩方が仕事に楽しさを見出している姿に、自分もそうなれるかもしれないと希望を持つことができました。また自己分析シートや就職希望先を一覧で管理できる記入シートなど多くのプリントが大変役に立ちました。自己分析シートのおかげで好きなことを仕事にしたい思いが強くなり、選考中は就職希望先の一覧のおかげで各社の状況を整理することができました。
Q7:今後、清泉女子大学で学んだことを活かして、成長していきたい姿、将来の夢や抱負、目標などを教えてください。文化史学科では、興味のあった日本美術史をはじめ日本文化関連の授業をたくさん受講していました。その知識を活かして、これからもさまざまな日本の美術品を鑑賞していきたいと思っています。そして仕事を通し、少しでも多くの日本人に仏像をはじめとする日本の美術品に興味を持ってもらえるような活動ができたら、と考えています。
Q8:読者へ「キャリアデザイン」のために在学中にやっておいた方が良いことがありましたらアドバイスをお願いします。好きなことを見つけ、今しかできない勉強に没頭すると良いと思います。私は美術鑑賞と読書が好きだったため、中世美術史や古文書学など、気になる授業はすべて取っていました。3年生のときには日本美術史と西洋美術史という異なる2つのゼミナールに所属していました。同じ美術史とはいえ、日本と西洋、両方の課題に追われてたいへんなときもありましたが、好きなことを勉強してきたことでやりたいことを明確にすることができ、今の仕事に繋げられたのだと思います。
Q9:高校生へのメッセージとして、清泉女子大学の良いところを教えください。アットホームでとても環境の良い学校です。都心ですが、自然に囲まれた落ち着いた校舎。学校内ですれ違うと友人はもちろん先生や来訪者の方とも挨拶を交わすのが当たり前でした。少人数で受ける授業が多いこともあり、すぐに相手の名前を覚え、自然と友人が増えていきました。また教職員の方も学生をしっかりと見てくださり、いつも親身になって相談に乗ってくださいました。