高田 智子 教授

英語英文学科(2025年度より総合文化学科)
高田先生
英語の指導法、評価法を学びます
コミュニケーションを目的とした外国語学習の枠組に基づき、英語の指導法、評価法を研究しています。NHKラジオ語学番組を通し実践にも携わっています。


教員インタビュー

Q1

学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。

 中学のときから、英語は私にとって生きたことばでした。英語部に入って英語劇やスピーチコンテストに参加したり、日本での放送が始まったばかりのSesame Streetに聞き入ったり、海外文通をしたりするなど、英語を使う機会に片っ端から手をつけました。今思うとおかしくなるくらい単純ですが、英語を通して未知の世界とつながることに魅せられました。
 自然な流れで大学は英文科に進み、よき師との出会いに恵まれました。英文学では徹底してテクストに向き合い、英語学では現代英語のしくみが歴史的変遷の結果であることに興味をもち、英語演習では短波ラジオの海外ニュースから詩、演劇、映画まで生の英語を毎週書き取って英語力を鍛えられました。その後のキャリアの土台となった貴重な4年間でした。

Q2

先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。

 学部を卒業後、私立の中高一貫校で英語教員になりました。あこがれの職業でしたが、始めてみると英語教育に関して知らないことがいかに多いかを思い知らされました。先輩の先生方から、指導技術やテストの作り方など手ほどきを受けられたのは幸いでした。こうして試行錯誤を重ねていたころ、英語を母語としない学習者に英語を教えるTESOL ( Teaching English to Speakers of Other Languages) という分野があることを知り、機を得てボストン大学大学院に留学しました。指導法を実践しその効果を検証するという研究を通して、英語教育を社会科学としてとらえる視座を身に付けることができたと思います。

Q3

研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。

 コミュニケーションを目的とした外国語学習の枠組に基づき、英語の指導と評価の方法を研究しています。国内、海外の小・中・高等学校で英語の授業を見学し、授業者へのインタビューや意見交換をもとに、学習者が当事者意識をもって英語を学ぶ方法を考えてきました。同じ検定教科書を使った授業でもアプローチが異なる場合がある一方、教育システムの異る海外でも授業形態に日本との類似点が見いだされる場合があります。ある指導法を継続的に実施して、学習者の変容を観察する研究も行います。外国語習得はさまざまな要因が複雑に関連しあって起こるので、すっきりした結論が出ないことが多いのですが、それが生身の人間と生きたことばを研究対象にすることの宿命でもあり、おもしろさでもあります。

Q4

学生へのメッセージをお願いいたします。

 日々の生活でしなければならないことに、自分なりの目的をもって行動すると、気持ちが前向きになります。苦手だな、面倒だな、と思うことでも、それをすることで何かが変わる、だれかが喜ぶ、と思うと、ていねいな仕事をするようになります。学業も同じです。卒業要件だから履修するのではなく、この科目を学んでこういうことができるようになりたい、こういう自分になりたい、という将来像をもちましょう。きっと、より多くの発見があると思います。

教員紹介


氏名
高田 智子
フリガナ
タカダ トモコ
職種
教授
所属
英語英文学科(2025年度より総合文化学科)
取得学位
博士(外国語教授法)
学位取得大学
New York University, School of Education, Department of Teaching and Learning
最終学歴
New York University, School of Education, Department of Teaching and Learning
専門分野
英語教育学
応用言語学
研究テーマ
コミュニケーションを目的とした外国語学習・教授・評価のための枠組(CEFR)に基づき、英語の指導と評価の方法を研究している。現在はとくに日本の学校教育で実行可能なタスクの開発を行っている。また、文法を形式、意味、機能の3つの側面からとらえる理論的枠組を教材開発に生かし、理論と実践の融合に取り組んでいる。
所属学会(役職)
及び受賞歴
関東甲信越英語教育学会理事(2022年度~)
小学校英語教育学会倫理審査委員長(2021年度~)
全国英語教育学会会員
大学英語教育学会会員
主要業績
(2008) A Longitudinal Study of the Effects of Learning English in Elementary School. Annual Review of English Language Education in Japan 19, 231-240.
(2012) The Possibility of the Implementation of the Action-Oriented Approach to Japanese Junior High Schools through the Use of the CEFR-J. Annual Review of English Language Education in Japan 23, 73-87.
(2013)『英語到達度指標CEFR-Jガイドブック』(共著)大修館
(2013) A Progress Report on the Development of the CEFR-J, coauthored with Masashi NEGISHI & Yukio TONO. Studies in Language Testing 36, 135-163.
(2015)「日本の学校英語教育における『CAN-DOリスト』の意義」『明海大学外国語学部論集第27集』15-25.
(2017) The perception of the CEFR in secondary-level English language teaching in Japan. English Profile Studies 6, 49-64.
(2019)『新しい時代の英語科教育法―小中高を一貫した理論と実践』(共著)学文社
(2019)「中学校学習指導要領(平成29年告示)外国語の『聞くこと』と『読むこと』の目標とCEFR熟達度レベル」『明海大学外国語学部論集第31集』
23-38.
(2020)「CEFRに準拠したコースブックにおける語彙・文法の扱い―文法と言語活動を効果的に関連付ける教材作成への示唆―」『明海大学外国語学部論集第32集』21-40.
・(2020)『教材・テスト作成のためのCEFR-Jリソースブック』(共著)大修館
社会活動、
文化活動等
・教員免許更新講習 講師(2010~2019年度)
・文部科学省「外国語教育における『CAN-DOリスト』の形での学習到達目標設定に関する検討会議」委員(2012~2014年度)
・関東甲信越英語教育学会(KATE)千葉研究大会実行委員長(2014年度)
・独立行政法人大学入試センター教科科目第一委員会リスニング部会委員(2014~2016年度)
・全国英語教育学会(JASELE)査読委員(2008~2010年度、2014~2018年度)
・文部科学省「平成27年度英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」協力者(2015年度)
・独立行政法人日本学術振興会科学研究費委員会成果公開部会社会科学系小委員会委員(2017~2018年度)
・千葉県公立学校長期研修生受入れ(2017~2019年度)
・NHKラジオ「基礎英語2」講師(2018~2020年度)
・NHKラジオ「中学生の基礎英語2」講師(2021年度)