松井 ケティ 教授

地球市民学科
Kathy R. Matsui
平和な社会を築く対話を身につけましょう
和解や対立転換手法を通して、対話や建設的で協調的な解決方法、平和の文化を築く手段を探究している。また、それに伴うリーダーシップ養成や地球市民教育についても研究している。

教員インタビュー

Q1

学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。

 学生時代は家の教育方針で、自分で働いて学費を払っていましたので勉強とバイトに励んでおりました。当時上智大学国際部があり、授業は午後3時半から9時半までとなっておりました。学費はイギリス系の保険代理店(港区狸穴町)経理部で2年間お世話になり、その後清泉インターナショナルスクール(世田谷区用賀)で卒業するまでお世話になりました。毎日8時から3時までバイトをして、それから急いで四谷(のちに市ヶ谷の上智大学へ通いました。横浜に住んでおりましたので朝は6時半に出て、帰りは午後11時ごろになり、それから予習復習で睡眠4時間ぐらいでした。切り詰めて必ずお昼は家からお弁当をもって仕事場へ行きました。あのころは電車の定期とお弁当さえあればその日をしのぐことができました。週末は通訳の仕事がたまにあり、大変な大学生活でしたが、色々仕事をしたおかげで多くの人と繋がり多くを経験し今の私がいると思っています。

Q2

先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。

 学部は商業(ビジネスアドミニストレーション)、修士は英語教授法そして博士はリーダーシップ・スタディーズと一貫性が無いようですが、私にとってはそれぞれが現在の専門に繋がり、良い土台になっています。修士課程では専門外の授業をとることが必須でした。その時に平和教育の母ともいわれるベティ・リアドン氏が包括的平和教育という授業を行ったのです。そして、ハワイでの国際平和教育学会に参加して素晴らしい経験をしました。基調講演以外はワークショップが行われ、アクティブラーニング手法で『少数民族の歴史と現在』に参加しました。参加者全員が役割を渡され、私はブラジルアマゾンに住むピグミー族を演じました。心に触れる経験で、このような国際学会を日本でも開催したいと思い、3年後その学会を主催しました。平和教育の経験が今の私が活動している東北アジアの平和教育トレーニングや大学の授業に反映され私のライフワークになりました。

Q3

研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。

 私の研究テーマは地域や世界の諸問題を分析し対話や平和教育を提案に導く過程や意義を証明する 研究に励んでおります。問題を抱えている地域の文脈に合う解決策は何か模索することが楽しく思えます。例えば、戦後の傷跡や、領土問題を抱える中国、韓国、日本などの参加者が集まる場で平和教育のワークショップを開くごとに参加者の意識が協調的な態度に変わる姿を見て、未来に平和を実現できる希望を見ることが多いので、この研究は意味ある物と感じます。私たちの未来は私たちで実現することができると強く信じることができるよう導く方法を問い、研究するのが重要だと思います。
matsui_sensei

Q4

学生へのメッセージをお願いいたします。

 学生の皆さんには知識を得るだけではなく、色々経験し、多くの人と関わり、心に触れる場をたくさん創ってください。色々なことに興味をもって好奇心を育てて下さい。「はてな」と思ったら「しらべてみよう」に繋げ、「そうなんだ」を発見してください。そして、あらゆる知識を行動できる市民として生かしてください。皆さんの周りに起こっていることは他人事ではありません。自分にどのような影響があるのか、自分の未来にどうつながるのか想像してください。そして、学生生活を楽しんでくださいね。

教員紹介


氏名
松井 ケティ
フリガナ
マツイ ケティ
職種
教授
所属
地球市民学科
取得学位
博士(哲学)Doctor of Philosophy, Leadership Studies
学位取得大学
Gonzaga University(ゴンザガ大学)
最終学歴
ゴンザガ大学博士課程(School of Professional Studies, Leadership Studies)
専門分野
包括的平和教育・多文化理解・建設的交渉法・対立解決法
研究テーマ
「平和の文化」とは、暴力を使わず、対立の原因を探求し問題解決を対話と交渉によって解決する価値観や姿勢のことと国際連合は定義している。対話とは何か、建設的な交渉法の意義や実践などを研究している。また、包括的平和教育は様々な平和に関する問題(ジェンダー、正義、関係修復と和解など)取り組み、平和の文化を築く為には平和への理解を形成する平和教育の手法を探求している。
所属学会(役職)
及び受賞歴
International Institute for Peace Education(平和教育国際学会)委員
日本平和学会
新英語研究会(東京大会実行副委員長)
WEF(World Educaqtion Forum)
アジア・太平洋平和学会
主要業績
・幸福へのアプローチ(里文出版)2001年9月
・「Conflict Management:平和と共生をキーワードにしている地球市民学科の授業」『地球市民学のすすめ』(地球市民学研究会編、清泉女子大学地球市民学科)2006年
・「親学のすすめII(7章:親のこころ、子のこころ、和のこころ)」モロロジー研究所 2006年
・“The Role of Leadership and Forgiveness in Peace Education toward Overcoming Historical Trauma,” (清泉女子大学紀要, 55号)2007年12月・Lessons from WWII Comfort Women: The Role of Peace Education in Developing Capacities for Forgiveness and Reconciliation(Lambert Academic Publishing) 2012年
社会活動、
文化活動等

・平和教育地球キャンペーン(GCPE)
・武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)
・世界宗教者会議(WCRP)婦人部会役員
・平和教育タスクフォース委員
・平和研究所所員
・親学会理事