この映像制作プロジェクトを受講することで、学生にどのようになってほしいと思っていますか?
そもそも映像は伝えたいことがあるからこそ作るものです。そして「なぜこのテーマを選んだのか」「なぜこれを伝えたいのか」「これをどう伝えるのか」をとことん考え、それを形にすることで初めて映像は完成します。学生には、ぜひ講座を通じて「自分の意見を持ち、それを伝える力」を培ってほしいですね。
同時に、映像制作では取材力やリサーチ力も必要。加えてこの講座ではグループで制作しますので、仲間とのコミュニケーション能力、調整力、統率力なども身に付くはずです。
この映像制作プロジェクトの講師として、工夫していること、気をつけていることなどを教えてください。
映像の完成までには様々な行程があるのですが、撮影や編集といった技術的なことは、さすがデジタルネイティブ、すぐにマスターしてくれます。一方で、学生たちにとって最大の難関は「台本作成」。どういう展開にすれば自分たちの伝えたいことが見ている人に届くのか。台本の正解はひとつではありません。作り手の腕の見せ所でもあり、同時にもっとも難しい部分です。
各グループで取り上げるテーマについての台本は、プロである私たちも一例として作成します。ただし、そのお手本を学生たちにはすぐには見せません。アドバイスはしますが、まずは試行錯誤しながら自分たちでとことん考え抜いてもらうことを大切にしています。学生たちも、たとえお手本の存在を知っていたとしても、「見ません。自分たちで考えます」と言ってくれるので頼もしい限りです。
受講学生へのメッセージをお願いします。
自分で「やりたい!」と思ったことがあって、それが一人ではできない、もしくは誰かと一緒にやったほうがずっと面白い、という場合には周りの人に声をかけて協力してもらう必要があります。そのためには「自分はなぜこれをやりたいのか」「やるとこんなに素晴らしいことがある」という熱意を相手に伝えなくてはなりません。「伝える力」があればあるほど、夢はどんどん叶うし、可能性も広がって行くと思います。
そんな「伝える力」を養うのにうってつけなのが「映像制作」です。しかも映像制作はとっても楽しい! 加えて自分の意見・考えがつまった作品をたくさんの人に見てもらえるというのは、何ものにも代え難い喜びがあります。
学生には、まずはこの講座で映像制作にチャレンジしてほしいですね。きっと夢や可能性がぐんと広がるはずですよ!
この映像制作プロジェクトを受講することで、学生にどのようになってほしいと思っていますか?
SNSの普及とIT技術の飛躍的な進歩により、動画はとても身近なものとなりました。しかし残念ながら、世の中に出回っている動画の多くは、内輪向けの、自己満足的な作品のように思われます。誰もが気軽に取り組めるものだからこそ、「伝える技術の差」がモノを言います。
このプロジェクトでは、プロが行っている映像制作の過程を、最初(企画)から最後(公表する)まで、しっかり体験してもらいます。そして、見る側の立場に立った映像作りの方法、すなわち「相手にきちんと伝わる骨太な表現力」を身につけてほしいと思っています。撮影のしかたや編集テクニックもさることながら、一番大切なのは「何を伝えたいのか」「どうすれば伝わるか」という構成力です。「伝える」ということの本質を、この機会にじっくり考えてほしいと思います。
この映像制作プロジェクトの講師として、工夫していること、気をつけていることなどを教えてください。
「講師」というよりも、働く女性の「先輩」として接したいと常に考えています。実際のところ、映像作りに「正解」はありません。私自身も、番組制作の現場では、常に迷い、悩み、落ち込むことがしばしばです。その体験談なども含めて、どんなことでも、尋ねられればオープンに話すようにしたいと思っています。
また、映像制作だけでなく、情報全般をどう扱うかということも実践的に学んでほしいと思います。そのために、FacebookやEvernote、サイボウズなどのグループウェアなども取り入れ、映像制作以外の場でも役に立つコミュニケーション方法を身につけてもらえるよう、心がけています。
受講学生へのメッセージをお願いします。
最近の学生は、私が学生だったころに比べて、バイトや就職活動など、とても忙しい日々を送っているように思えます。そのせいなのか、「効率よく」「早く正解を求める」傾向も強まっているように見えます。確かに効率よく作業することは大事です。しかし、若いうちから効率のよさや正解だけにとらわれてしまうと、見失ってしまうものがあると私は思います。
学生時代は、自分たちがしたいことを、様々な利害関係にとらわれず、純粋に追求できるかけがえのない時期です。自分が表現したいこと、伝えたいことをとことん考え抜いてみる、仲間と時間を忘れて議論をする、そしてその成果を「映像作品」として作り上げる、そういう「本気の」時間を、いま、この時期に、この映像制作プロジェクトで味わってほしいと思います。そうした経験は、将来必ず皆さんの役に立つはずだと信じています。