海外で活躍する卒業生

[モータ製造企業(インドネシア)]

インドネシア語との偶然の出会いから、駐在員として働くことに

会社の前で【会社の前で】
 大学4年時に大学の先生の薦めで偶然出会ったインドネシア語。その発音に魅了され、短期ホームステイを通して、言葉からインドネシア文化へと興味・関心が広がりました。

 就職活動ではそのことが評価され、インドネシアに工場があるモータ製造企業に就職。就職後も海外工場から短期研修にきたインドネシア人と寮で一緒に食事をしたり、土日一緒に自転車にのって近隣の山へ登ったり、さらに彼らを通じて知り合った会社の方々とも観光や食事を通して親睦を深めていきました。こうしたことが上司の目に留まり、言葉だけでなく、仕事面でもきちんと工場勤務できるよう、日々鍛えてくださいました。

 仕事を始めてから3年が経とうとしていたとき、インドネシア勤務を命じられ、2年半に渡る貴重な駐在経験をさせていただくことになりました。

駐在員として仕事を指示する立場に

 駐在員になってからは、管理する側の人間として、自分よりも年上のインドネシア人の女性や男性に仕事を指示する立場となりました。日本ではそのような経験をしていませんでしたので、相手に仕事を依頼するときに、どう説明すればわかりやすいか、どうすれば現在の業務方法や内容を改善させていけるか戸惑う日々でしたが、文字や言葉だけなく、「絵に描き、写真を見せ、そして最後は自分でやってみせる」、これがとても大切なのだと実感しました。

 このプロセスの良い所は、「一方的にやらせる」のではなく、自分も「一緒にやる」ところです。最初からできる人などいませんから、まず、できる人がやってみせる、次に一緒にやり、最後は自分でやらせるのです。このプロセスにより、信頼関係を築くことができます。プロセスを大切にすることで結果もついてくることを私は上司から学びましたが、それを自分の部下に教えながら共に学び、身につけることで、会社に貢献できたことはとても良い経験でした。

 結果を求めながらもプロセスを大切にすることは、元をたどれば地球市民学科の授業、特にフィールドワークやグループプレゼンテーションを通して学んだことです。これらの授業を通して知らず知らずのうちにそれが今の自分の判断・行動基準となっていたのだと今になって気づかされます。人生を豊かに生きる土台を大学で学べたことは、本当に有り難いことだと思い、感謝の気持ちでいっぱいです。

現地に合わせて柔軟に考え、行動し、変化を恐れないこと

 私が海外で生活するに当って大切にしているモットーは、「自分自身がインドネシア社会・インドネシア人に合わせて、柔軟に考え、行動する。変化を恐れず、良いことは素直に受け入れる。」です。

 日本に住んでいる時にはさほど気にしていませんでしたが、「自分自身が変化していくこと」、これこそが多文化に身を置く者が相手との衝突を避け、偏見を超えて、異なる文化を享受できるようになるポイントなのだと思います。

 ある日本人から、インドネシア人の価値観を否定せずに受け入れている私を、「あなたはインドネシア人化している」と言われたことがありますが、これまでの経験から、インドネシア人の価値観を理解した上で行動に移さなければ、期待した目標を達成することは難しいことを学びました。だからこそ、「インドネシア人化する」ことも必要な姿勢だと思っています。
インドネシアの結婚式の風景【インドネシアの結婚式の風景 -中央が新郎新婦-】
 相手を理解しようとする営み、これを大学時代に学べたことが今の自分の生活の土台となっています。このことは海外での異なる習慣・価値観の差から来るストレスの対処法になることも身をもって感じています。「大学時代あっての今、今の自分の営みあっての将来の自分」と自信を持って言えるよう、日々大切に過ごしていきたいです。
R.O.さん

[インドネシア駐在]

モータ製造企業
R.O.さん
2009年 地球市民学科 卒業
私立 淑徳高等学校 出身

*本格的にインドネシアに生活基盤を移したいと考え、駐在後、新しい会社に現地採用として就職。
*掲載内容は取材当時のものです。