大井 洋子 教授

共通科目
ooiy
第二言語習得研究に基づき英語学習を応援します
主体的で深い学びを目指す形成的評価や授業を活性化する教室内評価、学習者の学びの発展を支えるライティング評価について主に研究をしています。


教員インタビュー

Q1

学生時代の思い出や打ち込んだことについて教えてください。

 毎日を一生懸命に生きていました。大学生だった自分に今もし会えたら、「頑張ったね」と労ってあげたいです。
 私は、本や映画や美術が大好きな大学生でした。大学の授業が終わると映画館をはしごしたり、美術館に行ったり、本を読んだり、そしてその感動を友達と分かち合いました。一方で、社会的な活動にも興味があり、ボランティア活動にも定期的に参加をしました。自閉症や脳性麻痺の方たちの勉強や生活の手伝い、てんかん患者の方々の生活向上のための調査研究、そして地元横浜にある外国人墓地の掃除にも参加をしました。また、英語が話せるようになりたかったので、毎週日曜日には横浜山手にある大きな教会の礼拝に行き、在日外国人の方たちとの異文化交流を楽しみました。聖歌隊で歌の練習をしたり、ポトラックパーティ―で各国の料理を食したり、外国の文化に触れることがとても楽しかったです。家庭教師のアルバイトで貯めたお金で旅をしたのも忘れられない思い出です。

Q2

先生が、ご自身の専門に取り組むようになったきっかけを教えてください。

 私は高校で長く英語を教えてきました。教室で生徒に英語を教えている時に湧いた疑問や直面した問題をどうしたら解決できるのかと考え始めたことが、言語教育に関する研究をしようと思ったきっかけです。学術上の理論を当てはめても解決できないことが、現実の世界(教室)には数多くあります。また、私たちが当たり前と思っていることでも、理論を使って説明ができる場合もあります。どちらも研究や学問の無限の可能性を私たちに教える例だと思います。教師と学生にとっては、教室は当たり前の場所ですが、見方を変えれば異なる世界が見えてくるはずだと思ったことが研究のきっかけでした。

Q3

研究テーマの魅力や面白さはどのようなところにありますか。

 教室内評価(classroom assessment)や学習者情意(learner affect)、ライティング、そして、相互行為能力(interactive competence)に関する研究を主に行ってきました。具体的には、生徒評価を取り入れた授業や形成的評価を効果的に導入するにはどうすればよいかということ、学習者が言語を学ぶときの不安感を減少させる方法などを研究してきました。「評価」と聞くと、緊張する人が多いですが、私たちの学びを促進させるものと考えることもできます。形成的評価は、最終成果物に判断を下すというよりも、私たちの学びのプロセスに注目して、次に必要な段階を示すのが目的の評価です。形成的評価を効果的に導入して、皆さんに楽しく学んでもらうにはどうすればよいのかが私の研究テーマです。

Q4

学生へのメッセージをお願いいたします。

 皆さんは、日本映画の巨匠、黒澤明監督による作品『生きる』を知っていますか。この映画の中で主人公が、雪の降る夜にブランコをこぎながら、『ゴンドラの唄』を口ずさむシーンがあります。
 
  命短し 恋せよ乙女
  朱き唇 褪せぬ間に
  明日の月日は ないものを
 
 私が初めてこの歌を聞いたのは、皆さんくらいの頃でしたが、言いようのない哀しさがこみ上げてきたことを覚えています。と同時に、今一瞬を大切に生きようというメッセージが強く伝わってきたことも鮮明に覚えています。皆さんも、一期一会の気持ちで、出会う人を大切に、学べる機会に感謝をして大学生活を送ってください。

教員紹介


氏名
大井 洋子
フリガナ
オオイ ヨウコ
職種
教授
所属
言語教育研究所
取得学位
博士(教育学)
学位取得大学
早稲田大学大学院
最終学歴
早稲田大学大学院
専門分野
応用言語学
英語教授法
研究テーマ
教室内評価、ライティング評価、学習者情意を中心に研究を行っています。特に学習者の学習プロセスに着目し、効果的な形成的評価のあり方を探究しています。
所属学会(役職)
及び受賞歴
環太平洋応用言語学会 (Pan-Pacific Association of Applied Linguistics [PAAL])
全国語学教育学会 (The Japan Association For Language Teaching [JALT])
大学英語教育学会 (The Japan Association of College English Teachers [JACET])
International Language Testing Association (ILTA)
【受賞歴】
The Asian Association for Language Assessment (AALA) Outstanding Doctoral Dissertation Award(2022)
主要業績
【学術論文】
・Oi, Y. (2023). “Writing Anxiety Among Japanese First-Year University Students.” Journal of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics, 27(1), 61-83.
・Oi, Y. (2019). “Japanese High School English Teachers’ Perspectives on Classroom Writing Assessment Criteria: A Needs Analysis.” The Bulletin of the Graduate School of Waseda University, Separate Volume, 27(1), 159-176.
・Oi, Y. (2018). “The Relationship between Writing Tasks in Textbooks and CAN-DO Lists in terms of Task Difficulty.” Journal of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics, 22(2), 53-70.
・Oi, Y. (2015). “Analysis of Topic Development in Guided Writing in terms of Theme and Rheme.” International Journal of Languages, Literature and Linguistics, 1(1), 30-33.
・Oi, Y. (2014). “Self-Assessment of Topic Development in Written Production Among High School Students.” Journal of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics, 18(1), 145-169.
・Oi, Y. (2012). “A Pilot Study of Self-Evaluation and Peer Evaluation.” Selected Papers of the 17th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics, 1-11.
・「学習を促す評価(Learning-oriented assessment(LOA))としての自己評価とピア評価:日本の高校生のライティング授業を対象として」(単著)The Research Journal of the Association for Language Teaching, 45(3), 2024年
・「自己評価と他己評価は高校生の英作文学習不安にどんな影響を与えるのか」(単著) The Language Teacher (Japan Association for Language Teaching, 45(6),pp.25-31, 2021年
・「ライティング・タスクとCEFR Can-do リストとの関係 – タスク困難度からの探究」(単著) EIKEN BULLETIN, 29, pp.14-30, 2017年
・「自己評価と他己評価を利用した自律的英語学習の探究 – 高校生による英語スピーチを対象として」(単著) EIKEN BULLETIN, 25, pp.168-185, 2013年